採用広報のKPI設定方法|フェーズ別指標一覧と動画・SNSの測り方を解説

採用広報のKPI設定方法|フェーズ別指標一覧と動画・SNSの測り方を解説

※本記事は2026/08/17時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。

採用広報で記事やSNS・動画を発信していても、「どの数字を見れば成果を判断できるのか分からない」「PVやフォロワーは増えたのに応募につながっている実感がない」「経営層に効果をどう説明すればよいか分からない」と悩む担当者は少なくありません。

特に、専任の採用広報担当者がいない企業では、多くの指標を継続して確認するのは難しいでしょう。採用広報の効果を把握するには、最終的な採用目標から逆算し、自社の課題に合ったKPIを絞って追うのが現実的です。

本記事では、採用広報のKPIを認知から定着までのフェーズ別に整理します。KGIから逆算する設定手順に加えて、記事・SNS・動画の測り方、無理なく続けるための運用方法まで解説します。

採用広報のKPIとは?成果を測る指標の基本

採用広報の成果を正しく測るために押さえたいポイント(KPIとKGIの違い・KPI設定が必要な理由・活動量の指標だけでは成果が見えない)

採用広報を始めたものの、「記事のPVを見ればよいのか」「SNSのフォロワー数を追えばよいのか」「応募数だけを見ればよいのか」と迷う担当者もいるでしょう。

採用広報の成果を測るには、最終的な採用目標と途中の指標を分けて考える必要があります。まずは、KPIとKGIの違い、KPIを設定する理由から整理しておきましょう。

KPIとKGIの違い

まず「KGI(重要目標達成指標)」は、「来期までにエンジニアを3名採用する」といった採用活動の最終目標を指します。一方の「KPI(重要業績評価指標)」は、「採用サイト経由の応募数を月10件にする」といった中間目標です。

KGIが目的地だとすれば、KPIは目的地までの通過点を示す道しるべです。KGIが曖昧だとKPIを選びにくいため、採用広報の数値管理はKGIの確認から始めると整理しやすくなります。

例えば、「認知度を高める」という目標だけでは、PV・動画再生数・応募数などのうち何を優先して追うべきか判断できません。まず最終的に何を達成したいのかを明確にし、その達成状況を判断するためのKPIを設定しましょう。

採用広報にKPI設定が必要な理由

記事・SNS・動画を継続して発信していても、成果を判断する基準がなければ「続けるべき施策」と「見直すべき施策」を判断しにくくなります。施策の良し悪しを数値で判断できる状態は、限られた予算と体制で採用の成果を出すための前提です。

帝国データバンクの調査では、正社員の不足を感じる企業が2026年4月時点で50.6%に上りました。また、2026年6月の有効求人倍率は1.18倍(季節調整値)で、ハローワークの有効求人数が有効求職者数を上回る状態です。マイナビの調査でも、2026年の中途採用に積極的な企業は91.1%でした。

採用広報も例外ではなく、感覚だけの運用では費用対効果を社内に説明するのは難しいでしょう。そこで、数値で進捗を確認できる状態を作ると、施策の取捨選択や社内説明の判断材料にできます。

※出典:人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)(帝国データバンク) / 一般職業紹介状況(令和8年6月分)について(厚生労働省) / 中途採用状況調査2026年版(2025年実績)(マイナビキャリアリサーチLab)

閲覧数やフォロワー数だけを追うと成果が見えなくなる

採用広報で数字を確認していても、追っている指標によっては「数字は伸びているのに、採用につながっているのか分からない」という状態になります。記事のPV・SNSのフォロワー数・投稿本数は施策の活動量を示す指標であり、たとえ伸びていても、応募や入社に結びつくとは限りません。

例えば、閲覧数の多い記事と応募につながる記事は、必ずしも同じではないでしょう。そこで、投稿本数のような行動量の数字は、社内の実行管理用として分けて扱うのがおすすめです。活動量の指標は現状把握に使いつつ、応募への貢献を測る指標と組み合わせると、採用広報の改善に生かしやすくなります。

採用フェーズ別のKPI一覧|認知から定着まで

採用活動の流れに沿って見るKPIの全体像(認知・興味理解・応募選考・内定定着の4フェーズと代表的なKPI)

採用広報のKPIを考えるときに難しいのが、「候補となる指標が多すぎて何を選べばよいか分からない」という点です。

そこで、候補者が自社を知ってから入社・定着するまでを4つのフェーズに分けて考えると、現在の採用課題に必要なKPIを整理しやすくなります。代表的な指標は次の通りです。

フェーズ候補者の状態代表的なKPI
認知会社を知る記事のPV・インプレッション・指名検索数
興味・理解会社を深く知る90%スクロール到達率(読了の目安)・平均エンゲージメント時間・視聴者維持率
応募・選考行動を起こす応募数・応募完了率・書類通過率・面接辞退率
内定・定着入社して働き続ける内定承諾率・早期離職率

なお、4つのフェーズ全てを最初から測る必要はありません。応募が集まらない・辞退が多いといった自社の課題に近いフェーズから着手すると、無理なく運用を始められます。

認知フェーズのKPI(知ってもらう段階)

「そもそも応募候補者に会社を知ってもらえていない」という場合は、認知フェーズからきちんと確認しましょう。

記事のPV・SNSのインプレッション・動画の再生回数・社名での指名検索数などが、代表的な指標に当たります。指名検索数は採用広報だけの成果とは断定できませんが、自社名で検索された動きを見る参考指標になるでしょう。

認知フェーズの指標は露出の量を示すものが中心のため、単独では採用への貢献まで判断しきれません。露出が増えた月は、続くフェーズの数値もあわせて確認してください。認知の数値は、興味・理解フェーズへの転換とセットで確認すると、施策の評価に使いやすくなります。

興味・理解フェーズのKPI(深く知ってもらう段階)

PVや再生回数は増えているのに応募につながらない場合は、どこまで読まれた・見られたかを確認しましょう。記事なら90%スクロール到達率や平均エンゲージメント時間、動画なら視聴者維持率・平均再生率が候補です。

平均エンゲージメント時間はページが実際に見られていた時間を、視聴者維持率は動画のどの時点まで見られたかを、平均再生率は全体の平均で何%再生されたかを表します。

90%スクロール到達率は、記事の9割まで表示された人の割合です。GA4の拡張計測機能では、ページの90%が表示されるとscrollイベント(表示名「スクロール数」)が収集されるため、件数をページの表示回数で割って求めます。

ただし、90%の表示は最後まで読んだことと同義ではないため、読了の参考値として扱いましょう。こうした数値は計測条件・コンテンツの長さによって変わるため、自社のコンテンツ同士で比較し、変化の大きい記事や動画から改善点を探します。閲覧・視聴が継続しているコンテンツを見つければ、次に分析する対象を絞り込めます。

※出典:自動的に収集されるイベント(Google アナリティクス ヘルプ) / ページとスクリーンのレポート(Google アナリティクス ヘルプ) / YouTube コンテンツのパフォーマンスを把握する(YouTubeヘルプ)

応募・選考フェーズのKPI(行動してもらう段階)

コンテンツを見てもらえているのに応募数が増えない場合は、候補者が応募へ進む途中でどこに離脱があるのかを確認しましょう。応募数・カジュアル面談の申込数・採用サイトから、応募ページへの遷移率が代表的な指標です。

加えて確認したいのが、応募フォームの完了率・書類通過率・面接辞退率です。応募開始から入力完了までの離脱が多ければ、応募フォームの入力負荷や技術的な問題など、フォーム側に改善点がないか確認する手がかりになります。

ただし、全ての指標を同時に追う必要はありません。まずは、どの段階で候補者が離脱しているかを特定できる指標を一つ入れておきましょう。

なお、SHRMの2026年ベンチマークでは、非エグゼクティブ職のTime-to-Fill中央値は39暦日でした。Time-to-Fillは、採用申請の開始からオファー承諾までの日数を指します。職種や組織の規模といった条件が違うため、参考値として扱いましょう。

※出典:2026 Recruiting Executives Benchmarking: Attracting Critical Talent(SHRM)

内定・定着フェーズのKPI(入社後まで見る段階)

応募は集まっているものの、内定辞退や早期離職が課題になっている場合は、内定後・入社後まで指標を広げてチェックしましょう。採用広報の目的によっては、内定承諾率と入社後の早期離職率などもKPIの候補です。

厚生労働省の調査によると、新規大卒就職者の33.8%が就職後3年以内に離職しています(令和4年3月卒)。採用広報で仕事内容や職場の実態を入社前に伝えることは、候補者が入社を判断するための情報を増やすことにつながります。

内定承諾率や定着率まで確認すると、応募数だけでは見えない選考後・入社後の状況も把握できるでしょう。応募数・内定承諾率・定着率を分けて見ることで、どの段階に課題があるか確認しやすくなります。採用広報との因果を厳密に切り分けることは難しいため、定着率は長期の参考指標として位置付けましょう。

※出典:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します(厚生労働省)

採用広報KPIの設定手順4ステップ

採用広報KPIの設定手順4ステップ(KGIを決める→チャネルごとに流れを洗い出す→歩留まり率から逆算→SMARTで3~5個に絞り込む)

KPIの候補が分かっても、「自社では結局どの数字を追えばよいのか」という疑問は残ります。そこで、KPIを思いつきで選ぶのではなく、最終的な採用目標から必要な数値を逆算することが大事です。ここでは、営業職を年に数名採用したい中小企業を例に、KPIを決める流れを4ステップで確認していきましょう。

STEP1 KGI(採用の最終目標)を決める

設定手順は、KPIではなくKGIの確定から始まります。「いつまでに・どの職種を・何名・どの程度の採用単価で採用するか」を先に言葉にして、経営層と採用担当者の間で共有しておきましょう。採用単価まで含めておくと、施策にかけられる費用の上限も検討しやすくなります。

「採用力を高める」といった抽象的な目標のままでは、追う指標を選びにくいでしょう。目標の認識が関係者間でずれていると、後の指標選びも揺れてしまいます。「来期末までに営業職を2名採用する」のように、期限と人数まで具体化することをSTEP1の目安にしてください。

STEP2 採用チャネルごとに候補者の流れを洗い出す

KGIが決まったら、候補者がどこから自社を知り、どのように応募へ進んでいるのかを整理します。採用サイト・SNS・求人媒体・人材紹介・リファラルといったチャネルごとに、「接触→応募→選考→内定」の流れを書き出しましょう。書き出す粒度は、段階ごとの人数を毎月記録できる程度で十分です。

例えば、採用サイトは訪問から応募まで、人材紹介は紹介会社からの推薦から内定までと、チャネルごとに起点も歩留まりも異なります。洗い出した流れは、そのままKPI候補の一覧です。チャネルによって候補者の数も改善手段も違うため、全チャネルを1本の流れにまとめないことが整理のコツです。

STEP3 歩留まり率から逆算して目標数値を置く

チャネルごとの流れを書き出したら、KGIから必要な数を逆算します。営業職2名の採用がKGIで、内定承諾率が50%なら必要な内定は4件です。さらに、応募からの内定率が20%なら、必要な応募は年20件という計算になります。

実績値がない段階では、歩留まり率を仮置きして始める方法があります。一定期間の実績がたまったら、自社の数値へ置き換えて目標を見直しましょう。

逆算の仕組みを持っておけば、どの段階の数字が足りないかを毎月の数値から読み取りやすくなります。最初から精密な数値を求めるよりも、まず構造を作ることを優先してください。

STEP4 SMARTを満たす3~5個に絞り込む

候補となる数字を全て追おうとすると、採用広報そのものよりも、計測作業の負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。

「具体的か」「数値で測れるか」「担当者を決められるか」「現実的に達成できるか」「期限が決まっているか」という5つの観点(SMART)を参考に、追う指標を3~5個まで絞りましょう。SMARTは絶対条件ではなく、KPIの具体性を点検するための枠組みとして使います。

例えば、指名検索数は測定できても、自社の行動だけでは短期間に動かしにくいでしょう。先ほどの営業職2名を目指す会社であれば、応募数・応募ページへの遷移率・内定承諾率の3つが候補です。自分たちの施策と結び付けて変化を確認できる指標から優先して選びましょう。

※出典:Doran, G. T. (1981) There’s a S.M.A.R.T. Way to Write Management’s Goals and Objectives(EBSCOhost書誌情報)

コンテンツ別のKPIと測り方|記事・SNS・動画

採用広報の各コンテンツで見る指標と確認方法(採用サイト・記事はGA4/SNSは標準アナリティクス/採用動画はYouTube Studioで計測)

KPIを決めても、実際に記事・SNS・動画で、どの数字を確認すればよいのか分からなければ運用できません。ここでは、採用広報で使われることの多い3つのコンテンツについて、主なKPIと計測手段を整理しておきましょう。

コンテンツ主なKPI計測手段
採用サイト・記事90%スクロール到達率・応募ページ遷移率・応募完了率GA4
SNSインプレッション・エンゲージメント率・リンククリック数各SNSの標準アナリティクス
採用動画視聴者維持率・平均再生率・動画経由の遷移数YouTube Studio・各SNSの動画指標

採用サイト・オウンドメディア記事のKPI

採用サイトや記事を公開していても、エントリー数だけを見ていては、途中のどこに課題があるのか分かりません。エントリー数は、選考までの流れの後半に表れる結果です。90%スクロール到達率・応募ページへの遷移率・応募フォームの完了率・その後の書類通過率まで分解して確認しましょう。

分解して見る狙いは、課題の切り分けです。90%スクロール到達率が低ければ記事の内容や構成、遷移率が低ければ導線、フォーム完了率が低ければ入力項目などを確認するきっかけになります。

どの数値が変化しているかを確認すると、コンテンツ・導線・応募フォームのどこから調べるかを絞り込みやすくなります。

SNS運用のKPI

SNSではフォロワー数だけを見ていると、採用サイトへの流入や応募につながっているか判断しにくくなります。SNSは認知と興味の両フェーズを担うため、指標も2段階で設計しましょう。認知はインプレッションで測り、興味はエンゲージメント率と投稿からプロフィールや採用サイトへ進んだリンククリック数で測ります。

なお、SNSのエンゲージメント率は投稿への反応の割合を指し、記事の平均エンゲージメント時間とは別の指標です。フォロワー数は活動の結果として増減する指標です。単独で追うのではなく、投稿への反応や採用サイトへの遷移とあわせて確認すると、採用につながる動きを見やすくなります。

利用できる指標や分析機能はSNSごとに異なります。まずは各SNSで利用できる標準の分析機能を確認し、その範囲で継続して測れる指標から選びましょう。

採用動画のKPI(視聴データを応募につなげる)

採用動画を公開したものの、再生回数だけを見て「効果があったのか分からない」と感じる場合は、視聴の継続状況と次の行動を分けて確認しましょう。

このうち視聴の継続状況を示す指標が、視聴者維持率と平均再生率です。YouTubeアナリティクスなら、動画のどの時点で視聴者が離脱したかまで把握できるため、離脱が集中する箇所は動画の構成や長さを見直す手がかりになります。

一方で、視聴が長く続いていても、候補者の理解が深まったかどうかまでは、視聴データだけで判断できません。概要欄などに採用サイトへの導線を設置し、視聴とは別にサイトへの遷移も確認しましょう。視聴者維持率で離脱箇所を確認し、動画経由のサイト遷移を別に測ることで、視聴状況と次の行動を分けて評価できます。

なお、求人原稿を動画に作り替える具体的な手順は、以下の記事で解説しています。こちらも参考にしてください。

※出典:視聴者維持率を左右する重要なシーンを測定する(YouTubeヘルプ) / YouTube コンテンツのパフォーマンスを把握する(YouTubeヘルプ)

無料ツールでの計測方法(GA4・UTMパラメータ・応募経路の聴取)

「専用の分析ツールを導入する予算がない」という企業もあるでしょう。採用広報の計測は、GA4や各SNSの分析機能から始められます。標準機能だけでは、どの発信経由の訪問かは見分けにくいため、リンク末尾に短い印を付けて区別します。この印がUTMパラメータです。

印の付いたURLは、GoogleのURL生成ツールに参照元(utm_source)・メディア(utm_medium)・キャンペーン名(utm_campaign)を入れるだけで作れます。投稿ごとに分けるならutm_contentを加えましょう。

このURLで発信すると、リンク経由の訪問がGA4で参照元として集計されます。ただし、応募ページへの遷移や応募完了まで測るには、イベント計測の設定が必要です。初回だけ外部へ依頼する方法もあります。

ツールの計測とあわせて、応募フォームに「何を見て応募しましたか」の設問を設けると、アクセス解析と候補者の申告を突き合わせられます。GA4をまだ使っていない企業でも、この設問だけなら今日から始められるはずです。

※出典:URL 生成ツール:カスタム URL でキャンペーン データを収集する(Google アナリティクス ヘルプ) / トラフィック ソースのディメンション、手動タグ設定、自動タグ設定(Google アナリティクス ヘルプ)

KPIを形骸化させない運用方法|中小企業の現実解

無理なく続ける採用広報KPI運用のポイント(月1回・3指標から始める、数値は改善の起点、定性情報で補う、経営層には変化を添えて報告)

採用担当者が通常業務と兼任している企業では、細かなKPIを設定しても計測や振り返りが続かないことがあります。少ない指標でも継続して確認し、次の施策を決められる状態を作りましょう。

ここでは、専任を置きにくい中小企業を前提に、計測の頻度・数値の使い方・定性情報の扱い・経営層への報告を解説します。

専任がいないなら「月1回・3指標」から始める

通常業務と採用広報を兼任していると、毎週多くの指標を確認する運用は負担になりがちです。週次で全指標を追う体制を組めないのであれば、月1回・3指標のレビューから始めます。レビューの日時をあらかじめ固定するといった、続けやすい形から整えてみましょう。

設計したKPIが5個でも、毎月必ず見るのは3つに絞って構いません。残りは四半期ごとの確認に回すと、月次のレビューを続けやすくなります。

また、確認する指標は、自社の広報体制の段階に合わせて入れ替えることも大事です。立ち上げ期は発信量と認知の指標、軌道に乗ってからは応募への転換の指標といったように、自社の課題に応じて移していきましょう。計測の体制は「続けられる最小構成」で設計し、必要になった段階で広げる方法もあります。

数値は評価ではなく改善の起点として使う

KPIの数字が未達になると、担当者自身の評価を問われているように、感じることもあるでしょう。しかし、採用広報でKPIを見る目的は、数字の良し悪しだけを判定することではありません。KPIが担当者を評価するためだけの数字になると、改善に必要な情報を共有しにくくなる可能性があります。

施策の評価と改善の両方にKPIを使うのであれば、未達の理由も含めて確認できる運用にしておきましょう。レビューの場では、数値の報告だけで終わらせず、なぜ変わったか・次に何を変えるかをセットで話し合います。

うまくいかなかった施策も、原因の仮説と一緒に共有すれば次の打ち手を考える材料になります。数値を人の評価だけでなく打ち手の検討材料として扱うことが、改善につなげるためのポイントです。

数値に表れない変化は定性情報で補う

採用広報では、PVや応募数にはまだ表れていなくても、候補者との会話に変化が表れることがあります。面接で候補者から出る質問の変化や、応募理由での発信内容への言及・辞退理由の変化は、効果の手がかりになるシグナルです。

例えば、会社概要に関する初歩的な質問が減ったときは、応募前の情報収集が変化した可能性を考える材料になります。面接メモや辞退理由を記録する仕組みを作っておくと、定量データでは見えない変化を拾えるようになるでしょう。

記録は選考メモの一項目に加える程度で十分です。統計的な裏付けを持つ指標ではないため、あくまで判断の補助として扱いましょう。

経営層への報告は数字に「変化」を添える

採用広報を担当していると、「結局、この施策で何人採用できたのか」と経営層から聞かれることもあるかもしれませんが、この質問に採用人数だけで答えるのは難しいでしょう。記事や動画を公開してから応募・採用に至るまでには、時間がかかるためです。

経営層への報告では、指標を並べるだけでなく「どの数値が・なぜ変わり・次に何をするか」の3点をあわせて伝えましょう。細かな数値とともに、採用への影響や次の打ち手を示すと、施策の状況を説明しやすくなります。

応募・採用のような下流の指標は、短期間では変化を読み取りにくいものです。その間も、中間指標の変化と実施した打ち手を記録しておけば、KGIに到達する前の進捗を説明できます。中間指標の変化と次の打ち手を続けて示すことは、予算や社内協力を検討してもらうための材料になります。

採用広報のKPI設定に関する質問(FAQ)

Q. 採用広報のKPIはいくつ設定すればよいですか?

A. まずは、3~5個に絞ることをおすすめします。全フェーズの指標を一度に追うと、計測の手間が増えるため、応募が少ない・辞退が多いといった自社の課題に近いフェーズを優先しましょう。一定期間同じ指標を追うと、数値の変化を比較しやすくなります。運用しながら、不要な指標の入れ替えや追加を検討してください。

Q. 採用広報の効果が出るまでどのくらいかかりますか?

A. 効果が表れるまでの期間を一律に示すことはできません。施策の種類・発信頻度・採用人数・選考期間などによって、各指標が動くタイミングが変わるためです。短期の応募数だけで判断せず、90%スクロール到達率・視聴者維持率などの中間指標もあわせて確認しましょう。その上で、応募・採用の変化を継続して追うことが大事です。

Q. 専任の広報担当者がいなくてもKPI運用はできますか?

A. 小さな構成からであれば始められます。本記事では、月1回・3指標のレビューを一つの方法として紹介しています。GA4や各SNSで利用できる標準の分析機能から計測を始め、数値を見て次の打ち手を検討する時間を確保しましょう。担当が変わるときに備えて、誰がどの指標を見るかだけは決めておくと引き継ぎもしやすくなります。

Q. 採用動画の効果はどの指標で測ればよいですか?

A. 再生回数・視聴者維持率・平均再生率・動画経由の採用サイトへの遷移数を候補にしましょう。再生回数では視聴された量を、視聴者維持率と平均再生率では視聴の継続状況を確認できます。採用サイトへのリンクにUTMパラメータを設定すれば、動画経由の訪問も別に計測できる仕組みです。

採用広報のKPIは小さく測り始めて改善し続けよう

採用広報で記事・SNS・動画を発信しても、応募につながっているのか分からなければ、施策を続けるべきか判断するのは難しくなります。一方で、限られた体制の中で、全ての指標を追う必要もありません。

採用広報のKPIは、認知から定着までのフェーズ別に候補を整理し、KGIから逆算して3~5個に絞るのが運用しやすい形です。フェーズ別の一覧表と設定手順4ステップも、自社で何を測るべきかを整理する材料にしてください。

また、絞り込んだKPIの計測も、大規模な仕組みから始める必要はありません。GA4・YouTube Studio・各SNSの分析機能を使えば、大規模な計測環境を用意する前から小さく運用を始められます。

まずは、自社の採用目標と現在の課題を確認し、課題に近いフェーズから3つ程度の指標を選びましょう。月1回でも同じ指標を継続して確認すれば、「何となく続ける採用広報」から、数値をもとに改善できる採用広報に変えていけるはずです。

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