SaaSのプロダクトツアーとは?効果が出る場面・出にくい場面や、設計のポイントについて解説

※本記事は2026/05/21時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。

BtoB SaaSのプロダクトツアーは、初回ログイン後の操作案内や初期設定の完了を支援する仕組みです。ただし、導入すれば必ず成果につながる施策ではありません。本記事では、プロダクトツアーの意味、効果が出る場面、向いているSaaS、失敗しやすい設計、成果につなげるポイントを解説します。

プロダクトツアーとは

プロダクトツアーとは、SaaSの画面上でユーザーに操作手順や重要機能を案内する仕組みです。初めて利用するユーザーが迷わず操作を進められるようにして、サービスの価値を理解しやすくするために設計されるのが一般的です。

SaaSの画面上で操作や機能を案内する仕組み

プロダクトツアーは、吹き出し・ハイライト・ステップ表示などを使って、ユーザーに次の操作を示す機能です。初回ログイン後に「次に何をすればよいか」を画面内で案内し、利用開始時の迷いを減らします。

特にSaaSの領域では、ログイン後の画面に複数のメニューや、設定項目が並ぶことが多いでしょう。そこでユーザーが初めの行動を選べないと、価値を感じる前に離脱しやすくなります。そこで、プロダクトツアーを設計し、最初に体験してほしい操作に誘導するわけです。

チュートリアル・ウォークスルーとの違い

プロダクトツアー、チュートリアル、ウォークスルーは近い意味で使われることがあります。いずれも、ユーザーに使い方を理解してもらうための案内手段です。

ただし、BtoB SaaSの文脈では、プロダクトツアーは単なる説明画面ではありません。実際の管理画面や操作画面の中で、ユーザーに行動を促す点が特徴です。ユーザーが見るだけの説明画面ではなく、実際に操作を進めながら理解を深める接点として設計します。

プロダクトツアーとオンボーディングの関係

プロダクトツアーは、オンボーディング全体の一部です。オンボーディングは、ユーザーがサービスの価値を理解し、継続利用できる状態に近づける取り組みです。

その中でプロダクトツアーは、画面内で操作を案内する役割を持っています。メール・ヘルプ記事・FAQ・操作説明動画・CS担当者による支援と組み合わせることで、オンボーディング全体の導線を引くことができます。

SaaSの領域でプロダクトツアーが注目される背景

SaaS領域では、初回利用時のつまずきが継続利用に影響しやすくなります。導入後すぐに価値を感じてもらうには、ユーザー自身が迷わず操作できる導線が必要です。

初回利用時にユーザーが迷いやすい

SaaSは、設定項目や管理機能が多くなりやすいサービスです。ログイン後に何から始めるべきか分からないと、ユーザーは操作を止めてしまいます。

初回利用時の迷いは、プロダクトの価値が低いことと同じではありません。価値に到達する前の導線が分かりにくいだけのケースもあります。プロダクトツアーは、最初に完了してほしい行動を明確にし、ユーザーを価値実感へ近づけます。

CSやサポートの説明負荷が増えやすい

利用企業やユーザー数が増えると、同じ操作説明や初期設定の問い合わせが繰り返し発生します。CSやサポート担当者が個別に説明し続けると、対応工数が増えてしまうでしょう。

そこで、プロダクトツアーを使うと、基本的な操作案内を画面内で標準化できます。人間が説明すべき内容と、プロダクト内で案内できる内容を分けることで、CSやサポートはより重要な支援に時間を使いやすくなります。

セルフオンボーディングの重要性が高まっている

無料トライアルやセルフサーブ型の導入では、営業担当者やCS担当者が全ユーザーに伴走するのは困難です。ある程度はユーザー自身が理解し、必要な設定を進められる設計が必要です。

そこで、セルフオンボーディングでは、プロダクト内の案内が重要になります。プロダクトツアーは、ユーザーが自分で操作しながら学べる接点であり、特に初期設定や主要機能の体験では、短い案内がユーザーの行動を後押しします。

SaaSでプロダクトツアーが効果を発揮する場面

SaaSでプロダクトツアーが効果を発揮する場面

プロダクトツアーは、ユーザーが迷いやすい場面で効果を発揮します。特に、初回の行動・初期設定・重要機能の体験・新機能の理解・問い合わせの多い操作などで、活用しやすい施策です。

初回ログイン後に何をすべきか分からない場面

初回ログイン直後のユーザーは、画面構成や操作の流れを理解していません。メニューが多いSaaSでは、最初に押すべきボタンが分からず、画面を閉じてしまうことがあります。

この場面では、プロダクトツアーで最初の一手を示すことが有効です。「まずプロフィールを設定する」「最初のプロジェクトを作成する」など、具体的な行動に導くことで、利用開始時のつまずきを減らせます。

初期設定やアカウント設定を完了してほしい場面

プロフィール設定・権限設定・外部連携・初回データ登録などは、SaaSの利用開始に必要な作業です。これらが完了しないと、サービスの本来の価値を体験できません。

プロダクトツアーは、初期設定の完了を促す導線として活用するのがよいでしょう。単に設定画面を紹介するのではなく、どの順番で進めればよいかを示すことが大切です。完了すべき行動を絞ることで、ユーザーの負担を抑えられます。

重要機能を体験して価値を理解してほしい場面

SaaSでは、ユーザーが価値を感じる行動に、早く到達することが重要です。機能の一覧を見せるだけでは、ユーザーは何が自分に関係するのか判断しにくくなります。

そこで、プロダクトツアーでは、価値の実感につながる操作に案内するのがポイントです。例えば、分析ツールであれば最初のレポートの作成、業務管理ツールであれば、最初のタスク登録などが該当します。ユーザーが「使えそうだ」と感じる体験に近づけるのが目的です。

新機能や仕様変更を既存ユーザーに伝えたい場面

新機能や仕様変更をリリースしても、既存ユーザーが気付くとは限らないので注意が必要です。メールやリリースノートを読まないユーザーも少なくありません。

そこで、プロダクトツアーを使えば、実際の画面上で変更点を案内できます。ユーザーが該当画面を開いたタイミングで説明すれば、文脈に沿って理解しやすくなるでしょう。新機能の利用促進にもつながります。

同じ問い合わせが繰り返し発生している場面

特定の操作や設定で問い合わせが集中しているなら、プロダクトツアーが改善策になり得ます。ユーザーがつまずく箇所を画面内で案内すれば、自己解決を促せます。

ただし、問い合わせを単純に減らすことだけを目的にすると、必要なサポートまで見えにくくなるので注意が必要です。プロダクトツアーは、ユーザーが自力で解決できる範囲を広げるための施策であるため、サポートの品質とあわせて考える必要があります。

SaaSでプロダクトツアーが向いているサービスの特徴

SaaSでプロダクトツアーが向いているサービスの特徴

プロダクトツアーは、全てのSaaSに同じ効果をもたらす施策ではありません。サービスの複雑さや利用ユーザー数に加えて、導入形態や改善したい指標によって、向き不向きがあります。プロダクトツアーが向いているサービスの特徴について、ここで押さえておきましょう。

1社あたりの利用ユーザー数が多い

1社あたりの利用ユーザー数が多いSaaSでは、個別説明だけで全員を支援するのが難しくなります。管理者だけでなく、現場ユーザーにも基本操作を理解してもらう必要があります。

このようなサービスでは、プロダクトツアーによる案内の標準化が有効です。初回ログイン時の説明を画面内に組み込めば、利用者ごとの理解差を抑えやすくなり、S担当者の負担軽減にもつながるでしょう。

機能が多く、画面構造が複雑である

多機能なSaaSでは、ユーザーがどの機能から使うべきか迷いやすくなります。全ての機能を一度に理解してもらうのは、現実的ではありません。

そこで、プロダクトツアーでは、価値実感に近い操作を優先して案内することが重要です。多機能であるほど、最初に見せる情報を絞る必要がありますが、重要な導線だけを示すことで、ユーザーは迷いにくくなります。

無料トライアルやセルフサーブの比率が高い

無料トライアルやセルフサーブの比率が高いSaaSでは、ユーザーが短期間で価値を判断します。営業やCSの説明を受ける前に、プロダクト内の体験で判断されることも珍しくありません。

プロダクトツアーは、ユーザーが自力で主要機能を体験するきっかけになります。特に、トライアル開始直後に価値を伝えたいサービスでは有効で、画面上で次の操作を示すことにより、放置や離脱を減らせます。

初期設定完了率や機能活用率を改善したい

初期設定が完了しない場合や、重要機能が使われないといった課題があるならば、プロダクトツアーを検討する価値があります。説明ではなく、行動完了を目的に設計することが重要です。

例えば、外部連携の設定が完了しないなら、連携画面への誘導と入力手順の案内が必要です。重要機能が使われないなら、その機能がどの業務に役立つのかを短く示します。KPIと接続した設計が成果を左右します。

プロダクトツアーが効きにくい場面もある

プロダクトツアーは便利な施策ですが、設計を誤るとユーザー体験を悪化させます。特に、一律表示や長すぎる説明・UI課題の放置・役割の違いなどを、無視した案内には注意が必要です。プロダクトツアーが効果を発揮しにくい場面に関しても、押さえておきましょう。

ユーザーの目的が分からないまま一律で表示する場面

全ユーザーに同じプロダクトツアーを表示すると、関係のない説明になりやすくなるので注意が必要です。管理者・一般ユーザー・初回利用者・既存ユーザーでは、必要な情報が異なります。

BtoB SaaSでは、契約者と実利用者が異なるケースも珍しくありません。役割が違うと、案内すべき画面やゴールも変わります。表示対象を分けずに案内する場合、ユーザーは不要な説明を押し付けられていると感じる可能性があります。

手順が長すぎて操作の邪魔になる場面

丁寧に説明しようとしてステップ数を増やしすぎると、ユーザーの負担になる場合もあります。例えば、初回ログイン時に長いツアーを出すと、読まれずにスキップされることもあるので注意しましょう。

プロダクトツアーは、短く具体的であるほど使われやすくなる傾向にあります。1つのツアーで全機能を説明するのではなく、目的ごとに分けることが大切です。必要なタイミングで、必要な説明だけを出す設計が求められます。

UIそのものが分かりにくい場面

UIの構造が分かりにくいとき、プロダクトツアーだけで根本的に解決するのは難しくなります。説明を追加しても、画面自体が複雑でだと、ユーザーは迷ってしまうでしょう。

このケースでは、ツアーで補足すべき問題と、UI自体を改善すべき問題を分けて考えることが大事です。ボタン名が分かりにくかったり、画面遷移が複雑だったりする場合、プロダクトの改善が必要でしょう。

導入担当者と実利用者の役割が大きく異なる場面

BtoB SaaSでは、導入を決める担当者や初期設定を行う管理者、日常的に使う現場ユーザーが分かれることがあります。同じツアーを表示すると、誰かにとって不要な内容になりかねません。

例えば、管理者には権限設定や外部連携の案内が必要ですが、現場ユーザーには日々の入力や確認操作の案内が必要です。役割ごとにゴールを分けることで、プロダクトツアーの精度を向上させられます。

業務理解や運用設計が必要な場面

プロダクトツアーは、画面操作の案内に向いていますが、業務フローの設計や社内ルールの整理までは担いきれません。

例えば、承認フローの設計やデータの入力ルール・部門間の運用分担は、画面上の案内だけでは理解しにくい領域です。このようなテーマでは、ヘルプ記事・短尺動画・運用ガイド・CS担当者による支援などを、うまく組み合わせる必要があります。

プロダクトツアーの設計手順

プロダクトツアーを設計する手順

プロダクトツアーは、作成ツールを入れるだけでは成果につながりません。ユーザーに完了してほしい行動を決めて、価値実感までの導線を整理した上で設計する必要があります。

ユーザーに完了してほしい行動を決める

プロダクトツアーは、見てもらうこと自体が目的ではありません。初期設定を完了したり、重要機能を使ったり、外部連携を設定したりなど、完了してほしい行動から逆算するのがポイントです。

初めにゴールを決めると、不要な説明を減らせるようになります。例えば、初回利用者に全機能を紹介するよりも、初めのデータ登録を完了してもらう方が、成果に近いケースは少なくありません。案内の目的を行動単位で定義することが重要です。

価値実感につながる導線を整理する

プロダクトツアーでは、ユーザーが価値を感じるまでの最短経路を整理しましょう。全機能を順番に説明するよりも、「Aha Moment(アハ体験)」に近づく行動を優先することが大事です。

「Aha Moment」とは、ユーザーが「このサービスは自分に役立つ」と感じる瞬間です。BtoB SaaSでは、最初のレポート生成や最初の顧客登録・自動化の設定などが該当します。プロダクトツアーは、この行動へ導くために設計するのがポイントです。

役割や利用状況に応じて出し分ける

管理者と一般ユーザーでは、必要な案内が異なります。初回利用者と既存ユーザーでも、表示すべき情報は変わってきます。

従って、プロダクトツアーはユーザーの属性や利用状況に応じて、きちんと出し分けることが重要です。初回ログインや設定未完了・新機能未利用などの条件をもとに、表示を設計しましょう。関係のある案内だけを出すことで、ユーザー体験を損わずに済むようになります。

1ステップごとの文言を短くする

画面上の説明は、長文になるほど読まれにくくなります。1ステップでは1つの行動だけを示して、短い文で次にやることを伝えるようにしましょう。各ステップに入れる文言は、機能名の説明よりもユーザーの行動を重視することが大事です。

例えば、「このボタンでは設定を変更できます」よりも、「まず通知先を設定します」の方が、ユーザーは行動に移しやすいでしょう。プロダクトツアーでは、短く具体的な表現を心掛けることが大切です。

完了率・スキップ率・離脱箇所を確認する

プロダクトツアーは、公開して終わりではありません。ユーザーの完了率・スキップ率・離脱した箇所などを確認し、改善を続ける必要があります。

例えば、スキップ率が高いときは、表示対象や表示タイミングが合っていない可能性があります。特定のステップでの離脱が多いなら、説明文や操作内容が分かりにくいかもしれません。きちんと数字を見ながら調整することで、実際に使われる案内に近づけることが重要です。

プロダクトツアーの作成方法

プロダクトツアーの作成方法には、自社開発とツール活用があります。どちらを選ぶかは、開発体制、改善頻度、運用担当者、セキュリティ要件を踏まえて判断します。

自社開発で実装する

自社開発は、プロダクトの仕様に合わせて柔軟に設計できる方法です。デザインや表示条件を細かく制御しやすく、独自のユーザー体験を作りやすい点が特徴です。

一方で開発の工数がかかり、文言修正や表示条件の変更でも、エンジニアの対応が必要になることも珍しくありません。頻繁に改善をする場合は、運用スピードとのバランスをきちんと確認する必要があります。

プロダクトツアーツールを活用する

プロダクトツアーツールを使うと、ノーコードまたはローコードで画面内ガイドを作成しやすくなります。CS・PMM・サポート担当者が改善に関わりやすいのもメリットです。

ツールを選ぶときは、表示条件・分析機能・セキュリティ・サポート体制などを確認します。導入のしやすさだけで選ぶと、後から改善に必要なデータが取れないことがあります。目的に合う機能があるかを見極めることが大切です。

ヘルプ記事や動画と組み合わせる

プロダクトツアーだけで全てを説明しようとすると、ツアーが長くなりがちです。詳細説明はヘルプ記事、操作の流れは短尺動画、個別の運用相談はCS対応というように役割を分けましょう。

特に、複数画面をまたぐ操作では、画面上の短い説明だけでは足りないことがあります。このようなときは、短尺動画やヘルプ記事に接続すると理解しやすくなります。プロダクト内の案内と外部コンテンツをつなげる設計が有効です。

プロダクトツアーの効果を測るKPI

プロダクトツアーの効果を測るKPI

プロダクトツアーの成果は、ツアーを表示した回数だけでは判断できません。ユーザーが価値実感に近づいたかを確認するために、初期設定完了率やアクティベーション率などの指標を確認しましょう。

初期設定完了率

初期設定完了率は、プロダクトツアーが最初の行動完了に貢献しているか、確認するための指標です。外部連携・権限設定・初回データ登録など、利用開始に必要な作業の完了状況をしっかりと確認しましょう。

この指標を見ると、ユーザーが初期段階で止まっているかを把握しやすくなります。設定完了までの時間もあわせて見ると、導線改善の効果が分かりやすくなります。

アクティベーション率

アクティベーション率は、ユーザーが価値実感につながる重要行動を完了した割合です。SaaSでは、単なるログインではなく、価値に近い行動を定義する必要があります。

例えば、分析ツールなら最初のレポート作成、CRMなら最初の顧客登録、マーケティングツールなら最初の配信設定が候補になります。プロダクトツアーの目的をアクティベーションと結び付けることで、改善の方向性が明確になります。

ツアー完了率・スキップ率

ツアー完了率とスキップ率を見ることで、プロダクトツアー自体が受け入れられているかを確認できます。完了率が低いときは、ステップ数や文言・表示タイミングなどに、何らかの課題があるかもしれません。

スキップ率が高いときは、ユーザーにとって不要な案内になっている可能性があります。表示対象を絞ったり、初回表示のタイミングを遅らせたり、1回あたりのステップ数を減らしたりなどの改善が必要です。

問い合わせ率・同カテゴリ問い合わせ数

プロダクトツアーをサポートの改善に使うなら、問い合わせ率や同カテゴリ問い合わせ数などを確認しましょう。特定の操作に関する問い合わせが減っているかを見ることで、自己解決への貢献を把握できます。

ただし、問い合わせ数が減っただけでは十分とは限りません。ユーザーが解決できずに諦めている可能性もあります。フォーム到達率、ヘルプ記事閲覧、ツアー完了後の操作完了などもあわせて確認すると、判断しやすくなります。

機能利用率・継続率

プロダクトツアーの目的が機能活用であれば、対象機能の利用率を確認します。新機能の案内を出した後に、実際の利用が増えたかを見ることが重要です。

長期的には、継続率やチャーンとの関係も確認しましょう。プロダクトツアーは短期の操作案内ですが、価値実感や利用定着に接続すると継続利用率にも影響します。単体の数字ではなく、オンボーディング全体の流れとして評価する必要があります。

SaaSのプロダクトツアーを成果につなげるポイント

SaaSのプロダクトツアーを成果につなげるポイント

プロダクトツアーでは、単に案内の量を増やすのではなく、必要な情報を必要なタイミングで届けることが重要です。CSやサポートの知見も反映しながら、継続的に改善を重ねましょう。プロダクトツアーを成果につなげるため、意識すべきポイントを解説します。

全機能を説明しようとしない

プロダクトツアーで全機能を説明しようとすると、ユーザーの負担が増えてしまう可能性があります。初回の体験では、最初にユーザーに価値を感じてもらうために、必要な操作だけに絞ることが重要です。

機能を多く見せるほど、ユーザーの理解が深まるとは限りません。むしろ、何をすればよいか分からなくなることがあります。最初のプロダクトツアーでは、ユーザーに完了してほしい行動を一つか二つに絞る設計が向いています。

ユーザーの状態に合わせて案内する

初回利用者・既存ユーザー・管理者・一般ユーザーでは、必要な情報が異なります。プロダクトツアーは、ユーザーの状態に合わせて表示することで効果を発揮します。

例えば、初回利用者には基本設定の案内が必要です。既存ユーザーには新機能や変更点の案内が向いているでしょう。表示条件を設計することで、不要な説明を減らし、必要な案内だけを届けやすくなります。

CSやサポートの知見を反映する

CSやサポートには、ユーザーがつまずきやすい箇所の情報が集まります。問い合わせ内容やオンボーディング時の質問、商談後の利用状況を確認すると、プロダクトツアーに反映すべき論点が見えてくるでしょう。

プロダクトツアーは、プロダクトチームだけで設計するよりも、CSやサポートと連携した方が現場に合いやすくなります。実際のつまずきをもとに案内を設計することで、ユーザーの自己解決に近づきます。

短尺動画やヘルプ記事と役割を分ける

プロダクトツアーは、画面上でスムーズにユーザーを案内する取り組みです。複数画面をまたぐ操作や、判断が必要な業務内容を説明するには限界があります。

そのため、詳細な説明はヘルプ記事に、操作の流れは短尺動画に接続する設計が有効です。プロダクトツアーは入口として使い、深い理解が必要な内容は別コンテンツで補いましょう。これにより、ツアーの短さと理解の深さを両立しやすくなります。

UI変更や機能追加に合わせて見直す

SaaSはアップデートなどにより、頻繁に画面や機能が変わるため、古いプロダクトツアーが残ると、実際のUIと案内がずれてしまう可能性があります。

ツアーの内容が古くなると、ユーザーの混乱につながるため、機能の追加や画面の改修、メニュー名の変更があったときは、プロダクトツアーも見直さなければいけません。定期的に最新を収集し、定期的に確認するようにしましょう。

プロダクトツアーに関してよくある質問(FAQ)

Q. プロダクトツアーとチュートリアルの違いは何ですか?

A. プロダクトツアーとチュートリアルは、近い意味で使われることがあります。BtoB SaaSでは、画面上で操作を案内しながら、初期設定や重要機能の理解を促す施策として「プロダクトツアー」と呼ばれることが多くあります。

Q. プロダクトツアーは全てのSaaSに必要ですか?

A. 全てのSaaSに必須とは限りません。機能数・初期設定の難易度・1社あたりの利用ユーザー数・問い合わせの発生状況などを確認して判断しましょう。説明なしでも直感的に使えるサービスでは、別のオンボーディング施策の方が適することもあります。

Q. プロダクトツアーは何ステップくらいがよいですか?

A. 一律の正解はありません。ただし、初回体験では短く絞ることが重要です。最初から多くの機能を説明するよりも、ユーザーが価値を感じる行動に必要なステップだけを、ピンポイントで案内する方が使いやすくなります。

Q. プロダクトツアーだけでオンボーディングは完結しますか?

A. プロダクトツアーだけでオンボーディングが完結するとは限りません。画面操作の案内には向いていますが、業務理解・運用設計・社内展開には別の支援が必要です。ヘルプ記事・FAQ・動画・メール・CS対応などと、組み合わせることが重要です。

Q. プロダクトツアーの効果はどう測ればよいですか?

A. 初期設定完了率・ツアー完了率・スキップ率・アクティベーション率・対象機能の利用率・問い合わせ率などを、組み合わせて確認しましょう。単体の数字ではなく、ユーザーが価値実感に近づいているかを見ることが大切です。

SaaSのプロダクトツアーは成果から逆算して設計しよう

プロダクトツアーは、単なる操作説明ではありません。BtoB SaaSでは、ユーザーが早い段階で価値を理解し、必要な設定や重要機能の利用に進めることが重要です。効果が出る場面と出にくい場面を見極めて、プロダクトツアーの役割を明確にしておきましょう。

初回ログイン・初期設定・重要機能の体験・問い合わせの多い操作などには、プロダクトツアーの設計が向いています。一方で、業務設計やUI課題の根本改善を全て担う施策ではないので、役割の範囲を明確にした上で他の施策と組み合わせることが大切です。

プロダクトツアーを成果につなげるには、ヘルプ記事・短尺動画・FAQ・CS対応などと、うまく組み合わせることが大切です。価値実感までの導線を整理し、完了率やスキップ率を見ながら改善することで、オンボーディングや活用定着の改善につなげられます。

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