Anthropic、「Claude Haiku 5.5」を公開――入力100万トークン0.10ドルから、Haiku 4.5比で平均約75%安く、Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りも半額に
※本記事は2026/10/08時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。
Anthropicは10月7日(米国時間)、小型モデル「Claude Haiku 5.5」を公開した。APIの価格は100万トークンあたり入力0.10ドル・出力0.50ドルからで、前世代のHaiku 4.5と比べて動かすコストが平均で約75%下がると同社は説明している。
同じ発表で、中位モデルSonnet 5.5のキャッシュ読み取りの価格を半分に下げ、Max・Teamプランの契約者に毎月のAPIクレジットを配ることも明らかにした。ただし、Haiku 5.5の単価はプロンプトが10万トークンを超えると5倍になる。
本稿では、何がいくら安くなったのかを、価格の条件・「約75%」の算定の前提・性能の測定者・同社が示した用途・クラウドでの提供範囲に分けて整理する。
10万トークンを境に2段階となったHaiku 5.5の価格
Haiku 5.5の価格は、1回のリクエストに含まれるプロンプトの長さで2段階に分かれる。発表ページの価格表と料金ドキュメントから、その体系と比較対象の価格を確認する。
Claude 5.5ファミリーの3つ目、モデルIDは「claude-haiku-5-5」
Haiku 5.5は、9月に公開されたOpus 5.5・Sonnet 5.5に続く、Claude 5.5ファミリーの3つ目のモデルだ。
Claude Platformで指定するモデルIDは claude-haiku-5-5 で、コンテキストウィンドウは100万トークン、通常の最大出力は12.8万トークンとドキュメントに記載されている。
当メディアはSonnet 5.5の公開を伝えた9月29日の記事で、Haiku 5.5が「数週間のうちに加わる予定」と書いた。今回の発表は、Sonnet 5.5の公開から9日後に当たる。
10万トークン以下は入力0.10ドル、超えると入力0.50ドル
トークンは、AIが文章を処理するときの区切りの単位だ。プロンプトキャッシュは、繰り返し送る同じ前置き部分をサーバー側に保存して使い回す仕組みで、保存するときに「キャッシュ書き込み」、使い回すときに「キャッシュ読み取り」の料金がかかる。
発表ページの価格表を、Haiku 4.5とSonnet 5.5の価格と並べると次の通りだ。Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りは、今回の値下げ後の値になっている。
| 100万トークンあたり | Haiku 5.5(10万トークン以下) | Haiku 5.5(10万トークン超) | Haiku 4.5 | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|---|---|
| 入力 | 0.10ドル | 0.50ドル | 1.00ドル | 2.00ドル |
| 出力 | 0.50ドル | 2.50ドル | 5.00ドル | 10.00ドル |
| キャッシュ読み取り | 0.01ドル | 0.05ドル | 0.10ドル | 0.10ドル |
| キャッシュ書き込み(5分) | 0.125ドル | 0.625ドル | 1.25ドル | 2.50ドル |
10万トークン以下の4項目は、いずれもHaiku 4.5の10分の1に当たる。10万トークンを超えるとHaiku 4.5の半額になり、入力と出力の単価は10万トークン以下の5倍だ。
発表ページの価格表に載らない項目は、料金ドキュメントで示された。1時間保持するキャッシュの書き込みは、10万トークン以下で0.20ドル・超で1ドルだ。非同期でまとめて処理するBatch APIでは、10万トークン以下で入力0.05ドル・出力0.25ドルとなる。
料金ドキュメントは、Claude 4.6以降のモデルのうちHaiku 5.5だけを、100万トークンのコンテキスト全体を標準価格で使える対象から除いている。一方、境目の「10万トークン」にキャッシュから読み取った分を含めて数えるのかは、発表ページ・料金ドキュメント・移行ガイドのいずれでも確認できなかった。
比較の相手として発表に登場するOpenAIのGPT-6 Lunaは、同社の料金ページで入力0.10ドル・キャッシュ入力0.01ドル・出力0.50ドルとなっている。Opus 5.5の価格と、Opus 5.5と同じ日に公開されたGPT-6 Lunaの価格は、9月23日の記事で扱った。
「平均約75%安い」は10万トークン以下が9割という前提で算定
同社が掲げる「平均約75%安い」は、単価の下げ幅をそのまま示した数字ではない。発表ページの脚注によれば、算定には次の前提が置かれている。
単価は10万トークン以下のリクエストで90%、超えるリクエストで50%下がった。Haiku 4.5では、リクエストの90%が10万トークン以下だった。さらに、Haiku 5.5は新しいトークナイザー(文章をトークンに分ける仕組み)を採り、一つの仕事を終えるのに使うトークンがやや増えるため、その変化も計算に含めたという。
ただし、タスクあたりのトークンが何%増えると置いたのかは、発表ページと移行ガイドには示されていない。75%という数字は、利用の9割が10万トークン以下に収まるという、Haiku 4.5での実績を前提にした平均値だ。
移行ガイドは「同じテキストで約30%多いトークン」と説明
トークンの増え方については、別の資料にも記述がある。移行ガイドは、同じ入力テキストがHaiku 4.5よりも約30%多いトークンになり、正確な増え方は内容によって変わると書いた。
この「約30%」は、同じ文章を数えたときの比較だ。仕事を終えるまでに使う総トークンの増え方とは対象が異なり、75%の算定にこの数字を使ったという記載は、発表ページと移行ガイドにはない。移行ガイドは、Haiku 4.5のトークン数をもとに作ったコストの見積もりを計算し直す必要があるとしている。
Sonnet 5.5のキャッシュ読み取り半額とAPIクレジット
Haiku 5.5の公開に合わせて、Anthropicは既存のモデルと契約プランにも変更を加えた。Sonnet 5.5の値下げと、Max・Teamプラン向けのクレジットの条件を確認する。
Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りは0.20ドルから0.10ドルに
Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りは、10月7日から100万トークンあたり0.20ドルが0.10ドルになった。入力2ドル・出力10ドル・キャッシュ書き込み(5分)2.50ドルは変わらない。
同社は、キャッシュ読み取りがモデルのトークン消費の大きな割合を占めるため、多くのエージェント型タスクでSonnet 5.5のコストが約20%下がると説明した。エージェント型タスクとは、AIが道具を使いながら複数の手順を自分で進める仕事を指す。
約20%の内訳として、キャッシュ読み取りが消費の何割を占めると置いたかは、発表ページには示されていない。発表ページは値下げの例として、Terminal-Bench 4.0のグラフを載せた。このグラフでは、Max設定で1回あたり14.15ドルだったSonnet 5.5のコストが、新しい価格で10.44ドルになっている。
Maxは月100・200ドル、Teamは席単価の合計で上限500ドル
もう一つの変更は、ClaudeのMaxプランとTeamプランの契約者に、Claude Platformで使える毎月のAPIクレジットを配ることだ。発表によれば今週中に展開し、どのモデルにも使える。
Help Centerの記事によれば、額はMax 5xが月100ドル・Max 20xが月200ドルだ。Teamは席あたりStandardが20ドル・Premiumが100ドルで、全席の分を合算した額が月のクレジットになり、上限は500ドルだ。
例えばStandard 3席とPremium 2席のチームなら、月260ドルになる。Free・Pro・Enterpriseの各プランは対象外だ。新規の契約者は、対象プランに7日間在籍すると申請(claim)できる。
クレジットは翌月に繰り越せず、請求期間の終わりに失効する。使える先として挙がるのはClaude API・ConsoleのPlayground・Claude Managed Agents・Claude Agent SDKで、ターミナル・IDE・デスクトップ・Webで対話的に使うClaude Codeには使えない。
Amazon Bedrock・Google Cloud Vertex AI・Microsoft Foundry経由のClaudeも対象外だ。また、受け取れる国・地域についての記載は、Help Centerの記事に見当たらない。
性能の数値と、それぞれを測った主体
発表ページのベンチマーク表には、Haiku 5.5・Haiku 4.5・GPT-6 Luna・Sonnet 5.5の4モデルが並ぶ。ただし、値を測った主体は項目ごとに異なり、全てがAnthropicの測定ではない。システムカードの記述から、主な4項目の測定者を確認する。
知識労働の評価はArtificial Analysisが独立に実施
44の職種の実務を評価するGDPval-AA v2.1で、Haiku 5.5のEloレーティングは1620だった。発表ページの表では、Haiku 4.5が735・GPT-6 Lunaが1437・Sonnet 5.5が1840となっている。
評価の枠組みは第三者の評価会社Artificial Analysisが開発し、OpenAIのGDPvalから選んだ220のタスクを使う。システムカードは、評価をArtificial Analysisが独立に実施したと記す。既定の設定(medium)では1277で、出力トークンは最大設定のおよそ10分の1だったという。
Artificial Analysisは自社のページで、総合的な知能を測るIntelligence IndexでHaiku 5.5(max)が43だったと公表している。
OSWorldは他社モデルもAnthropicが同じ条件で実行
実際のコンピューターを操作して長い手順の作業を終える力を測るOSWorld 2.1では、Haiku 5.5が72.4%だった。Haiku 4.5は15.7%、GPT-6 Lunaは48.9%、Sonnet 5.5は83.9%だ。
この値は、108タスクのうちオフラインで動く82タスクで測り、部分点を含めて採点したものだ。システムカードによれば、GPT-6 LunaもAnthropicがOpenAIのAPI経由で同じ82タスクを実行した。部分点を含めない厳密な合格率では、Haiku 5.5は37.1%となる。
Terminal-Bench 4.0のGPT-6 Lunaの値は公開リーダーボードから
コマンドライン上で複数の手順の作業を進める力を測るTerminal-Bench 4.0では、Haiku 5.5が39.2%だった。Haiku 4.5は0.0%、Sonnet 5.5は70.6%となっている。
Haiku 5.5の値は、Anthropicが安全策を有効にし、インターネットへの接続を許さない条件で測ったものだ。一方、GPT-6 Lunaの16.4%は同社の測定ではなく、公開リーダーボードの値だとシステムカードは記す。同社の知る限り、OpenAI自身はこのベンチマークの値を公表していないとも付け加えた。
FrontierCodeのSonnet 5.5の52.1%はxhigh設定の値
コーディングの評価FrontierCode 1.1(Main)では、Haiku 5.5が46.4%・GPT-6 Lunaが42.4%・Sonnet 5.5が52.1%と表に並ぶ。この評価はCognitionが作ったもので、全モデルの実行もCognitionが担った。
ただし、表のSonnet 5.5の値は推論の深さを決める設定がxhighのときのものだ。同じmax設定どうしで比べると、システムカードではHaiku 5.5が46.4%、Sonnet 5.5が46.2%と記されている。Haiku 4.5はCognitionのリーダーボードに結果がなく、表では空欄になっている。
同社が示した用途の範囲・移行の注意・安全策
Anthropicは、Haiku 5.5を全ての仕事に向くモデルとしては位置づけていない。発表ページが示した用途の範囲と、ドキュメントの移行の注意点・安全策を確認する。
複雑なエージェント型コーディングはSonnet・Opusが適すると同社
同社は発表ページで、Terminal-Bench 4.0が測るような複雑なエージェント型コーディングには、Sonnet 5.5とOpus 5.5のほうが引き続き適すると書いた。
Haiku 5.5に向くのは、要約・コンパクション(長くなった会話の履歴を短くまとめ直す処理)・サブエージェントの仕事のような、範囲の狭いタスクだという。同社はこれらを、従来のClaudeではコストが見合わなかった可能性のある仕事として挙げた。
サブエージェントとは、主となるAIから作業の一部を任されて動く別のAIを指す。同社は、Haiku 5.5がコーディングでOpus 5.5やSonnet 5.5のサブエージェントとして組み合わせやすいとし、ライブのカスタマーサポート・ブラウザ操作のような速さが要る仕事にも向くとした。
速さについて、発表ページの脚注は、各モデルの標準速度では同社のモデルで最速だが、Fast ModeのOpusモデルよりは遅いと説明している。
Haiku 5.5は、Haikuの系統で初めて、コストと知能のどちらを優先するかを決めるeffort(推論の深さ)の設定も備えた。同社はあわせて、PythonとTypeScriptのSDKをコンピューター操作とブラウザ操作にベータで対応させるとした。
移行ではサンプリング指定・プリフィル・budget_tokensが400エラーに
Haiku 4.5から切り替える際の変更点は、移行ガイドが整理した。temperatureを1以外・top_pを0.99以外で指定したリクエストと、top_kを指定したリクエストは400エラーになる。temperatureとtop_pを両方含むリクエストも同じ扱いだ。
モデルに続きを書かせるために最後の発言をAI側として渡すプリフィルも、思考をオフにしていても400エラーで拒否される。思考の量を budget_tokens で指定する書き方も同様に400エラーで、adaptive thinking(思考の量をモデルが調整する方式)への置き換えが必要だ。
また、Claude APIの優先的な処理枠であるPriority Tierには、Haiku 5.5は対応していない。なお、10月8日に確認した時点で、Haiku 4.5は現行(Active)のモデルで、廃止予定(Deprecated)の欄も「N/A」のままだ。
廃止日の欄は「Not sooner than October 15, 2026」で、2026年10月15日より前には廃止しないという下限を示すにとどまり、廃止日を告知したものではない。
サイバーの安全策はHaiku 4.5より厳しく、最近の他モデルより緩い
安全策について同社は、Haiku 5.5のサイバーセキュリティの安全策をHaiku 4.5より厳しく、最近の他のモデルよりはやや緩くしたと説明した。防御的なタスクはSonnet 5.5の安全策より幅広く認めるが、侵入テストのような攻撃者が使う可能性の高い手法はブロックするという。
システムカードは、Haiku 5.5が責任あるスケーリング方針(RSP)の新たな閾値を超えないと評価する一方、自動の行動監査では、テストしたどのモデルよりも多く過剰に要求を拒否した(単発の無害な依頼ではHaiku 4.5より少なかった)と記した。
日本の企業から見て確認できること
Haiku 5.5の発表は、価格の下げ幅が条件によって大きく変わる。日本の企業の立場から、発表と各社の資料で確認できる事実を整理する。
単価が9割下がるのは、10万トークン以下のプロンプト
Haiku 4.5から単価が90%下がるのは、プロンプトが10万トークン以下のリクエストだ。これを超えるリクエストでは、下げ幅は50%にとどまる。
「平均約75%」は、Haiku 4.5で9割のリクエストが10万トークン以下だった実績をもとにした平均値だ。長い文書をまとめて読み込ませる使い方が多いと、実際の下げ幅はこの平均と異なる可能性がある。
複雑なコーディングにはSonnet・Opusが適すると同社自身が説明
同社は、Haiku 5.5を要約・コンパクション・サブエージェントのような範囲の狭い仕事に向けたモデルと位置づけた。複雑なエージェント型コーディングには、Sonnet 5.5とOpus 5.5のほうが適するとも、発表ページ自身が書いている。
あわせて、Sonnet 5.5もキャッシュ読み取りの値下げで、多くのエージェント型タスクのコストが約20%下がるとされた。今回安くなったのはHaiku 5.5だけではない。
国内リージョンはBedrockが日本域内のプロファイルに対応
同社によれば、Haiku 5.5はAWS・Google Cloud・Microsoft Azureを含む全プラットフォームで提供される。AWSは、Amazon BedrockとClaude Platform on AWSの2つの経路で使えると発表した。
Amazon Bedrockのモデルカードでは、東京と大阪のリージョンで、処理を日本域内にとどめる推論プロファイル(Geo JP)とグローバルの推論プロファイルに対応する。一方、東京・大阪では、単一のリージョン内で処理する推論(In-Region)には対応していない。
Google Cloudのモデルページでは、モデルの提供地域の欄に米国・欧州のマルチリージョンとグローバルエンドポイントが挙がり、東京・大阪の記載はない。Microsoft Foundryでの提供は、Anthropicのドキュメントに記載がある。
価格については、直販のClaude APIと同じ標準の単価だとAnthropicのドキュメントに明記があるのは、Claude Platform on AWSとMicrosoft Foundryだ。
Google Cloudの料金表にもHaiku 5.5の行があり、地域によって単価が異なる行が載っている。一方、Amazon BedrockのHaiku 5.5の価格は、今回取得した資料では確認できなかった。国内リージョンで使うときの提供地域と価格は、各クラウドの資料で確かめる必要がある。
※出典:Introducing Claude Haiku 5.5(Anthropic) / System Card: Claude Haiku 5.5(Anthropic) / Pricing(Claude Platform Docs) / Claude Haiku 5.5 migration guide(Claude Platform Docs) / Claude Haiku 5.5(Claude Platform Docs) / Model deprecations(Claude Platform Docs) / Claude in Microsoft Foundry(Claude Platform Docs) / Monthly API credits for Max and Team plans(Claude Help Center) / Claude Haiku 5.5 is now available on AWS(AWS) / Claude Haiku 5.5(Amazon Bedrock User Guide) / Claude Haiku 5.5 on Google Cloud(Google Cloud Documentation) / Agent Platform Pricing(Google Cloud) / Claude Haiku 5.5 (max) - Intelligence, Performance & Price Analysis(Artificial Analysis) / Pricing(OpenAI Developers)