Anthropic、Claude Sonnet 5.5を公開――単価はSonnet 5と同額、「最大30%安」の根拠は使うトークン数

Anthropic、Claude Sonnet 5.5を公開――単価はSonnet 5と同額、「最大30%安」の根拠は使うトークン数

※本記事は2026/09/29時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。

Anthropicは9月28日(現地時間)、Claude 5.5ファミリーの第2のモデル「Claude Sonnet 5.5」を公開した。同社は発表ページで、Sonnet 5より30%以上速く、ほとんどの仕事で最大30%安くなると説明している。

ただし、価格表の単価はSonnet 5と同じ入力$2・出力$10のままだ。安くなる根拠は、同じ仕事に必要なトークンが少ないことにある。本記事では発表ページ・システムカード・公式ドキュメントから、1回当たりのコストが効率設定でどう変わるかと、Sonnetとして初めて導入されたサイバー安全策の範囲を整理した。

9月28日、Claude 5.5ファミリー第2弾のSonnet 5.5を公開

Sonnet 5.5は、現地時間9月22日に公開されたOpus 5.5に続くモデルだ。Anthropicは同じファミリーの中で、Opus・Sonnet・Haikuのそれぞれに異なる仕事を割り当てている。Opus 5.5の公開時点で、Sonnet 5.5とHaiku 5.5は数週間以内に続くと予告されていた。

Opus・Sonnet・Haikuに割り当てられた仕事

発表ページは、Opus 5.5を「慎重な判断を要する複雑な仕事」向けと位置づけた。Sonnet 5.5については「範囲が明確な日常のタスク・バグの修正・完成度の高い文書やスライド、スプレッドシートの作成」に最も強いとしている(いずれも原文は英語、編集部訳)。

3つ目のClaude Haiku 5.5は、大量処理とコストを重視する用途向けとされ、数週間のうちに加わる予定だ。システムカードによると、Sonnet 5.5は一部の領域でOpus 5.5に並ぶか上回るが、全体としてはその水準に届かないことが多い。

提供は全プラットフォーム、コンテキストは100万トークン

提供は9月28日から全プラットフォームで始まった。

公式ドキュメントが挙げる提供先は、Claude API(claude-sonnet-5-5)・Amazon Bedrock(anthropic.claude-sonnet-5-5)・Claude Platform on AWS・Google Cloud・Microsoft Foundryの5つだ。

公式のモデル一覧によると、コンテキストウィンドウは100万トークン、最大出力は12万8,000トークンで、知識のカットオフは2026年6月とされる。Opus 5.5やSonnet 5と同じく、ゼロデータ保持にも対応した。

単価はSonnet 5と同額、「最大30%安」はトークン数から

Sonnet 5.5の単価は、入力・出力・キャッシュのいずれもSonnet 5と同じだ。Anthropicが示す「最大30%安」は単価の引き下げではなく、同じ仕事に使うトークンが減ることから生まれるという説明になっている。

入力$2・出力$10の据え置きと、6月30日からの経緯

発表ページの価格表では、100万トークン当たりの価格としてSonnet 5.5の欄に入力$2・出力$10・キャッシュ読み取り$0.20・キャッシュ書き込み$2.50が並ぶ。同じ表のOpus 5.5は、入力$4・出力$20・キャッシュ読み取り$0.20・キャッシュ書き込み$5だ。

公式の価格ドキュメントは、キャッシュとバッチ処理の料金を含めてSonnet 5と同じとしている。トークナイザーも共通で、同じ文章からは同じ数のトークンが数えられる。

Sonnet 5は6月30日の公開時、入力$2・出力$10の導入価格で提供された。9月1日から入力$3・出力$15に移る予定だったが、Anthropicは8月10日の追記で導入価格を恒久化した。Sonnet 5.5は、この$2/$10をそのまま引き継いでいる。

安くなる根拠はトークンの少なさ、Opus 5.5と同じ構造

発表ページは価格について、「Sonnet 5と同じ価格だが、同じ仕事をするのに必要なトークンは通常ずっと少ない。当社のテストでは、タスク当たりのコストが前世代より最大30%少ない」と説明した(原文は英語、編集部訳)。

単価が同じである以上、請求額の差はタスクごとに使うトークンの量で決まる。9月23日の記事で取り上げたOpus 5.5の「40%安い」は、既定設定の典型的なワークロードを対象とした数字だ。

入力・出力単価の20%減・キャッシュ読み取り単価の60%減・タスク当たりのトークン減を合わせている。Sonnet 5.5では単価の下げ幅がなく、最大30%の全てをトークンの減少が担う。

効率設定で変わる1回当たりのコストとスコア

「最大30%安」は、どの効率(effort)設定で動かすかによって大きく変わる。Terminal-Bench 4.0のグラフのデータでは、Sonnet 5.5は効率を上げるほどスコアと1回当たりのコストがともに上がり、最上位の設定ではコストがSonnet 5を上回っていた。

効率は5段階、既定はアプリがMedium・APIがHigh

公式ドキュメントによると、Sonnet 5.5の効率はlow・medium・high・xhigh・maxの5段階だ。段階は再調整されており、同じ名前の段階でもSonnet 5と同じ量の思考をするわけではないとされる。

既定値は利用する窓口で異なる。発表ページによると、Claude CodeとClaudeのアプリではMedium、Claude Platform(API)ではHighが既定だ。低い設定ほど速く少ないトークンで答え、高い設定ほど長く推論して作業を入念に確かめるという。

Terminal-Bench 4.0の効率別スコアと1回当たりコスト

発表ページには、エージェント型コーディングの評価Terminal-Bench 4.0について、スコアと1回の試行当たりのコストを効率別に示したグラフがある。グラフに埋め込まれたデータを抜き出すと、次の通りだ。数値はいずれもAnthropicが公開したもので、第三者による検証を経たものではない。

効率Sonnet 5.5のスコアSonnet 5.5の1回当たりコストSonnet 5のスコアSonnet 5の1回当たりコスト
Low20.0%$0.763.2%$3.78
Medium28.8%$0.834.4%$4.83
High43.0%$1.944.5%$8.20
Xhigh61.5%$5.307.0%$9.95
Max70.6%$12.5410.3%$11.62

システムカードによると、Terminal-Bench 4.0は科学に近い領域や先端のエンジニアリングの問題を重視した66のタスクから成る。Sonnet 5.5の70.6%は各タスク5回の試行の平均で、標準誤差は±2.5ポイントだ。

Max効率では1回当たりコストがSonnet 5を上回る

同じ効率で比べると、Mediumでは1回当たりコストがSonnet 5.5の$0.83に対し、Sonnet 5は$4.83だった。Highでも$1.94と$8.20で、Sonnet 5.5の方が低い。

一方、Maxでは関係が逆になった。Sonnet 5.5の$12.54に対してSonnet 5は$11.62で、1回当たりのコストはSonnet 5.5の方が高い。この設定のスコアは70.6%と10.3%で、コストの差とは別に到達点が大きく異なる。

Anthropicは、アプリの既定であるMediumのSonnet 5.5が、Sonnet 5の最高スコアをタスク当たり10分の1未満のコストで大きく上回ると説明している。「最大30%安」は、どの効率で動かし、どの仕事を任せるかによって変わる数字だ。

「10.3%」はMax効率の値、FrontierCodeはXhighが上

発表ページの表は、Terminal-Bench 4.0でSonnet 5.5の70.6%とSonnet 5の10.3%を並べている。このSonnet 5の10.3%は、グラフのデータと照らすとTerminal-Bench 4.0・Max効率で測った値で、表のセルに脚注は付いていない。

本記事で確認した範囲では、10.3%の試行回数といった測定条件は示されていない。Opus 5.5の66.4%には、Xhigh効率での値だという脚注が付く。Sonnet 5.5の70.6%は安全策を有効にした状態の値で、要求の1.2%はフォールバック先のモデルが答えた(p.113)。

FrontierCodeでは、Sonnet 5.5のMax(46.2%)がXhigh(52.1%)を下回った。脚注によると、Maxでは作業を多数のサブエージェントに分けるコードレビュー機能を使う頻度が増え、タイムアウトや範囲外の編集につながった例があったという。

Sonnet初のサイバー安全策、Sonnet 5に戻る作業の範囲

Sonnet 5.5は、Sonnetとして初めてサイバー安全策とフォールバック(別モデルへの切り替え)を備えて公開された。Anthropicは、サイバー能力がSonnet 5から大きく伸びたため、Opus 5.5と同様の安全策を適用したと説明している。

サイバー能力はSonnet 5から前進、RSPの新たな閾値は越えず

システムカードはサイバー能力について「Mythos級やOpus 5.5には及ばないが、Sonnet 5からは大きな前進」とした(p.24・原文は英語、編集部訳)。

CyScenarioBenchは安全策をオフにして測定され、完了率はSonnet 5.5が46.1%、Sonnet 5が0.7%、Opus 5.5が67.6%だった。

責任あるスケーリング方針(RSP)の評価では、新たな閾値を越えないと判定された(p.2)。化学・生物のCB-1と自律性のAutonomy-1は満たすもの、CB-2とAutonomy-2は越えないものとして扱う(p.12)。

生物学の安全策はSonnet 5と同じだ。一方、推論の抽出を防ぐ分類器(蒸留対策)は、Sonnetとして初めて備えた。安全策の範囲が広がったことで、利用者から見える挙動にも変化が出る。

日常の開発は影響なし、善意の作業でも拒否は増える

発表ページは「ユーザーは通常のソフトウェア開発の一環として、コードのバグを見つけて直せる。一方で、より高リスクなサイバーセキュリティの作業は、目に見える形でSonnet 5にフォールバックする」と書いた(原文は英語、編集部訳)。

システムカードは同じ安全策について、「善意のサイバーセキュリティ関連の作業でも、Sonnet 5.5では拒否が増えると想定すべきだ」と述べている(p.28・原文は英語、編集部訳)。通常の開発作業とセキュリティ関連の作業とでは、受ける影響が異なる。

境界の線引きも示された。ソースコード上の脆弱性の発見は許可され、コンパイル済みのバイナリ上の脆弱性の発見はブロックされる(p.29)。防御側の担当者向けのCyber Verification Programについて、サポート記事は取得時点でSonnet 5.5には適用されないとし、近く対象を広げると書いた。

3段構成の検知と、APIでは任意のフォールバック

システムカードによると、安全策はOpus 5.5と同じ3段構成だ。モデルの内部の活性化を見るプローブ・Sonnet 5.5自体の上で動く軽量な分類器・別モデルとして訓練されたLLM分類器が、会話を止めるかを判断する。

Sonnet 5への切り替えは、Anthropic自身のアプリでは自動だが、APIでは開発者のオプトインが要る(p.29)。公式ドキュメントによると、API側はベータ版の fallbacks: "default" で、Claude APIでのみ使える。

拒否された要求は、HTTP 200と stop_reason: "refusal" で返される。他のプラットフォーム経由では挙動が異なる可能性があるとカードは書いており(p.11)、Bedrock・Google Cloud・Foundryでの挙動は本記事では確認できていない。

Sonnet 5から移行するときの破壊的変更

公式ドキュメントは、Sonnet 5で動いているコードに影響する破壊的変更を5件挙げた。事前の思考をオフにする設定は新しい between_tools に切り替える必要があり、ツール使用の強制(tool_choice のany/tool)は400エラーを返す。

thinkingブロックは、モデルと会話に結び付けられるようになった。Claude APIとGoogle Cloudでは、旧版のcomputer useツール(computer_20251124)を受け付けない。

advisorツールは、Claude Opus 4.8・Opus 4.7・Sonnet 5を助言役として受け付けなくなった。このほか、プロンプトキャッシュの最小サイズは1,024トークンから512トークンに下がっている。

各社のコメントと、同日のOpenAIの見送り

発表ページには、公開前に試した企業のコメントが掲載された。同じ9月28日(現地時間)には、OpenAIが次期モデルの公開を見送ったこともCNBCなどが報じている。

トークン量と処理速度に触れた4社のコメント

Anthropicの発表ページに掲載された各社のコメントのうち、数値を挙げた4社分を見ると、比べた相手のモデルも測った作業も社ごとに異なる。

SlackのCurtis Allen氏は、Sonnet 5と比べて出力トークンが約14%減ったと述べた。ZendeskのAbhinay Kathuria氏は、本番で使っている既存のClaudeモデルと比べて、チケットの処理が20%速くなったとしている。

BoxのYashodha Bhavnani氏は、前のモデル比で2.4倍速く、総トークンは12%少なかったとした。Balyasny Asset ManagementのJoe Poirier氏は、2,441件の金融タスクで1回答当たりのトークンが約12万1,000、Sonnet 5は49万7,000だったとした。

OpenAIはGPT-6.1 Astraの公開を見送り

同じ9月28日(現地時間)、OpenAIが次期モデル「GPT-6.1 Astra」の公開を見送ったことをCNBCが確認した。CNBCによると、同社は社内の安全基準を十分に満たしていないと判断したという。

ロイター配信の記事(CBC掲載)によれば、GPT-6.1 Astraは10月に公開し、ChatGPTとCodexに統合する予定だった。

安全システム責任者のSaachi Jain氏は「作業の範囲と権限の内に留まる点と、行った作業の種類を利用者に伝える方法で、基準に十分には届かなかった」と述べた(原文は英語、編集部訳)。見送りが伝わったのは、9月29日の開発者会議「OpenAI DevDay 2026」の前日だ。

本記事で確認した範囲(9月29日13:25 JST時点までのOpenAIと同社CEOのX・公式サイトのRSSとニュース一覧)では、OpenAI公式の記述は見当たらなかった。当メディアが9月27日に報じた訓練停止との関係も確認していない。

請求額・安全策・使い分けの3点

Sonnet 5.5の発表は、単価表の数字だけでは読み切れない。確認した公式資料からは、次の3点を分けて読める。

  • 請求額はタスク当たり・効率設定で決まる:単価はSonnet 5と同じで、差は使うトークンの量から生まれる。AnthropicのTerminal-Bench 4.0のグラフデータでは、Mediumの1回当たりコストはSonnet 5より低く、MaxではSonnet 5を上回った。
  • サイバー安全策の影響は作業の種類で分かれる:通常の開発は影響を受けないとされる一方、善意のセキュリティ作業でも拒否は増える。APIのフォールバックはオプトインで、他のプラットフォームでの挙動は本記事では確認していない。
  • 使い分けはAnthropicが示した位置づけに沿う:Opus 5.5は慎重な判断を要する複雑な仕事、Sonnet 5.5は範囲の決まった日常業務、Haiku 5.5は大量処理とコストを重視する用途とされる。

※出典:Introducing Claude Sonnet 5.5(Anthropic) / Claude Sonnet 5.5 System Card(PDF・Anthropic) / Claude Sonnet 5.5(Claude Platform Docs) / Pricing(Claude Platform Docs) / What’s new in Claude Sonnet 5.5(Claude Platform Docs) / Migrating to Claude Sonnet 5.5(Claude Platform Docs) / Introducing Claude Sonnet 5(Anthropic) / Introducing Claude Opus 5.5(Anthropic) / Real-time cyber safeguards on Claude Opus and Sonnet(Claude Help Center) / Why Claude switched models in your conversation with Sonnet 5.5(Claude Help Center) / OpenAI News(OpenAI) / OpenAI DevDay 2026(OpenAI) / OpenAI abandons plan to release upcoming model as safety concerns escalate(CNBC) / OpenAI scraps release of new AI model over safety concerns(CBC News)

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