Microsoftの四半期売上900億ドル、Azureは年商1,000億ドル突破:Copilot有料席は3,000万超
※本記事は2026/07/30時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。
Microsoftが米国時間7月29日、2026年6月30日に終えた2026会計年度第4四半期(4~6月)の決算を発表した。売上高は900億ドルで前年同期比18%増。通期のAzure売上高は初めて1,000億ドルを超えた。
Microsoft 365 Copilotの有料席数は3,000万を突破し、純増数は前四半期の2倍を超えた。一方、当四半期の設備投資は410億ドルに達している。巨額のAIインフラ投資と、クラウドの成長・AI製品の課金拡大が同じ四半期に表れた。ただし、今回の決算だけで投資と収益の因果関係や最終的な投資回収を確定することはできない。
四半期売上900億ドル、Azureは年商1,000億ドル超
EPS・売上高ともに市場予想を上回る
四半期の売上高は900億ドルで18%増。営業利益は406億ドルで18%増、純利益は358億ドルで31%増となった。希薄化後の1株当たり利益(EPS)はGAAPベースで4.81ドル、32%増だった。
AP通信によると、FactSet Researchが集計した市場予想はEPSが4.24ドル・売上高が876億2,000万ドルで、実績は双方を上回った。株価は発表直後の時間外取引で約9%上昇し、426.03ドルを付けた。翌30日の通常取引では15.5%上昇している。
通期では売上高が3,318億ドルで18%増、営業利益は1,552億ドルで21%増。Microsoft Cloudの通期売上高は2,140億ドルとなり、27%増加した。
Azureの成長率は43%へ加速
Azureおよびその他クラウドサービスの売上高は、当四半期に43%増加した。前四半期の40%から加速している。通期のAzure売上高は初めて1,000億ドルを超え、年間の伸び率は41%となった。
CEOのSatya Nadella氏は「今年、Azureの売上高は初めて1,000億ドルを超え、Microsoft 365 Copilotは3,000万を超える有料席に達した。顧客がMicrosoftにAI変革の推進を託していることの表れだ」と述べている。四半期のMicrosoft Cloud売上高は593億ドルで27%増。クラウド全体が伸びる中で、Azureの伸び率が上回る構図となる。
More Personal Computingは減収
セグメント別では、Azureを含むIntelligent Cloudの売上高が393億ドルで32%増。Microsoft 365やDynamicsを含むProductivity and Business Processesは378億ドルで14%増となった。
WindowsやXboxを含むMore Personal Computingは129億ドルで4%減。Xboxのコンテンツ・サービス売上高は10%減少した。一方、検索広告売上高はトラフィック獲得費用控除後で10%増えており、全ての構成事業が減収だったわけではない。
会社側はWindows OEM and Devicesについて、2027会計年度に10%台後半の減収を見込む。全社の成長をクラウド・AI関連事業が強くけん引する一方、事業ごとの差も広がっている。
Copilot有料席3,000万席の内訳
純増数は前四半期の2倍超
Microsoft 365 Copilotの有料席数は3,000万を超えた。Microsoftは、純増数が前四半期比で2倍以上になったと説明している。
公表値は2026会計年度第2四半期が1,500万、第3四半期が2,000万超、第4四半期が3,000万超だった。公表値の差は約500万から1,000万超へ拡大したように見える。ただし、各数値は丸められているため、正確な純増数は算出できない。
それでも、純増ペースが加速した事実そのものは会社側の説明で確認できる。3,000万席という水準に達した点も、公表値として動かない。
5万席超の大口顧客が前年比7倍
5万席を超えて購入する顧客の数は、前年比で7倍以上に増えた。Microsoftは決算説明会で、6万席以上を購入した企業を10社挙げている。新スイート「E7」はCopilotにE5・Entra・Agent 365を組み合わせた製品だ。提供開始から2カ月で数百社が数百万席を購入し、EYは40万人へ導入した。MicrosoftはEYの契約をE7で過去最大の案件としている。
Agent 365に登録されたエージェントは、同じ2カ月で約4,000万に達した。ただし、この「登録」は有料契約数や稼働中のエージェント数を意味するとは説明されていない。
正確な浸透率は非公表
3,000万という数字の位置づけには留保も付く。Microsoft 365の商用有料席数は2026年1月時点で4億5,000万を超えていた。3,000万を4億5,000万で単純に割ると約6.7%だが、両方とも概数で基準日も異なる。
Microsoftは6月末時点の商用有料席数を開示していないため、Copilotの正確な浸透率は算出できない。Office 365 for IT Prosは推計値を使って7%未満と分析し、大型契約が年度末に集中する可能性も指摘している。
有料席は課金の単位であり、実際の利用状況を直接示す指標ではない。MicrosoftはPurviewが監査したCopilotの対話が累計500億件を超え、前年比で約360%増えたと説明した。この監査件数も月間利用者数や顧客が得た価値とは異なる指標となる。
設備投資410億ドルと会計処理の変更
支出の3分の2はCPU・GPUへ
当四半期の設備投資は410億ドルに達した。うち約3分の2が、CPU・GPUを中心とする耐用年数の短い資産に充てられている。410億ドルにはデータセンター用地を中心とするファイナンスリース56億ドルが含まれる。営業キャッシュフローは554億ドルで30%増。現金で支払った有形固定資産は358億ドルだった。
Microsoftが示したフリーキャッシュフロー196億ドルは、営業キャッシュフローからこの現金支払額を差し引いた値となる。設備投資410億ドルを差し引く計算ではない。
全社の粗利率は67%で前年同期を下回った。Microsoft Cloudの粗利率は別の指標で65%だった。会社側は2027会計年度について、投資を継続する中で通期の営業利益率が1ポイント未満低下するとの見通しを示している。
暦年2026年の見通しは1,750億ドルへ
Microsoftは4月の決算説明会で、暦年2026年に約1,900億ドルを設備投資へ充てると説明した。7月の説明会では、リース区分変更後の見通しを約1,750億ドルとしている。対象期間はいずれも暦年2026年であり、2027会計年度ではない。
差額は約150億ドルだが、会社側は投資計画の縮小とは説明していない。CFOのAmy Hood氏は「この耐用年数の影響を除けば、暦年2026年の設備投資見通しに変更はない」と述べた。
データセンターの耐用年数を25年へ延長
Microsoftはデータセンターとオフィスビルの見積耐用年数を15年から25年へ延長し、2027会計年度の期首から適用する。Hood氏は実際の運用実績と資産の想定利用を反映した変更だと説明した。
同氏によると、耐用年数の変更による2027会計年度の営業利益への効果は小さい。より大きな影響は、将来のデータセンターリースの多くがファイナンスリースからオペレーティングリースへ移る点にある。ファイナンスリースは設備投資に含まれるが、オペレーティングリースは含まれない。基礎となる投資見通しを維持したまま、設備投資として計上する範囲が変わる処理となる。
Morningstarのシニア株式アナリスト、Dan Romanoff氏は、Microsoftが設備投資の加速と投資家の懸念の間で難しい均衡を取ったと評価した。投資が多すぎれば将来の収益性が疑われ、少なすぎれば競争力への懸念が生じるとの見方だ。
需要超過と受注残6,780億ドル
次四半期のAzureは45%成長の見通し
Hood氏は2027会計年度第1四半期のAzureについて、恒常通貨ベースで約45%の成長を見込むとした。当四半期の43%からさらに加速する想定となる。
会社側は、顧客需要が利用可能な供給を上回る状態が続いていると説明した。当四半期に生まれたCPU・GPUの効率改善と供給余力は、Azureの売上へ速やかに転換できたという。需要超過は需要の強さを示す一方、供給不足が続けば売上成長の上限にもなり得る。需要超過だけを根拠に価格の維持や投資回収を断定することはできない。
データセンターは四半期で31か所を新設
Microsoftは当四半期に5大陸で31か所のデータセンターを新設し、通期では88か所を追加した。今後2年で全体の容量をおおむね倍にする計画も示している。
2027会計年度第1四半期の設備投資は500億ドルを超える見通しだ。この数字には、耐用年数変更に伴うリース再分類の影響が含まれる。
受注残は前年比84%増
商用の残存履行義務(RPO)は6,780億ドルとなり、前年比84%増えた。RPOは契約済みだが、まだ売上として認識していない金額を表す。84%という伸び率にはOpenAIとの契約が含まれる。OpenAIを除くRPOの伸び率は25%だった。一方、前四半期からのRPO増加分は全てフロンティアモデル企業以外の顧客によるものだとMicrosoftは説明している。
RPOの加重平均期間は2.3年で、今後12カ月に売上へ転換する見込みは約30%となる。受注残の大きさは需要の材料だが、設備投資の回収や個別顧客の信用リスクを単独で証明する指標ではない。
日本への1.6兆円投資が重なる局面
日本には100億ドルを投じる計画
Microsoftは2026年4月3日、2026年から2029年にかけて日本へ100億ドルを投資すると発表した。発表資料は1ドル160円で換算し、約1兆6,000億円としている。投資計画にはAIインフラの増強・国内事業者との連携・国家機関との官民サイバーセキュリティ協力・人材育成が含まれる。
AI基盤と人材育成で協業先は異なる
国内AIインフラでは、さくらインターネット・ソフトバンクとの共同開発を検討する。両社が提供する国内のGPUを含むAI計算資源へ、Microsoft Azureからアクセスできる仕組みを目指す計画だ。
人材育成では、NTTデータ・ソフトバンク・NEC・日立製作所・富士通との協力により、2030年までに国内でエンジニア・開発者100万人の育成を目指す。
研修の対象にはMicrosoft Azure・Microsoft Foundry・GitHub・GitHub Copilot・Microsoft 365 Copilotが並ぶ。電機連合との協力では、関連産業で働く約58万人の組合員にAIの基礎スキルを学ぶ機会を提供する。インフラ協業と人材育成では、参加企業と役割が異なる。国内計画がAzureの利用拡大やCopilotの課金増加へ直結するかは、今後の実施状況と利用実績を待つ必要がある。
収益化の速度を測る次の材料
今回の決算では、AIインフラへの大規模支出とAzure・Copilotの成長が同時に確認された。設備投資410億ドルに対し、Azureは43%成長・Copilotは有料席3,000万超・商用RPOは6,780億ドルとなった。
ただし、Copilotの正確な浸透率と実利用率は非公表のようだ。全社粗利率は前年同期を下回り、RPO全体の伸び率にはOpenAIとの契約も含まれる。耐用年数の延長は、減価償却期間とリース区分を変える会計処理でもある。
次の確認材料は、2027会計年度第1四半期のAzureが45%の見通しに届くか、Copilotの純増が年度末後も続くか、OpenAIを除くRPOがどの程度伸びるかの3点となる。これらの推移が、投資と収益化の持続性を測る材料になる。
※出典:FY26 Q4 Press Releases(Microsoft Investor Relations) / Microsoft Fiscal Year 2026 Fourth Quarter Earnings Conference Call(Microsoft) / Microsoft Fiscal Year 2026 Third Quarter Earnings Conference Call(Microsoft) / Microsoft Fiscal Year 2026 Second Quarter Earnings Conference Call(Microsoft) / マイクロソフト、日本のAI主導型成長に1兆6000億円を投資(Microsoft Source Asia) / Microsoft beats Wall Street expectations with $90B in revenue(AP通信/NY1) / Microsoft’s best day since 2008 leads US stocks(AP通信) / Microsoft holds the line on AI spending plans(CFO Dive) / Azure Tops $100 Billion As Microsoft Reports FY26 Q4 Results(Office 365 for IT Pros)