OpenAI、Codexのハーネスを「Agents API」で公開ベータ提供――データ所在地は米国のみ
※本記事は2026/09/11時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。
OpenAIは米国時間9月10日、クラウド上でAIエージェントを動かすための「Agents API」を公開ベータで提供開始した。自社のコーディングエージェント製品Codexを動かしているハーネス(モデル呼び出し・ツール・文脈を調停する制御層)と実行基盤を、開発者が1回のAPI呼び出しで利用できるようにしたものだ。
提供対象は全ての開発者で、発表当日から使える。Agents API自体に追加料金は無く、支払いはトークン・ツール・サンドボックスのコンテナ料金だけだ。エージェントを動かす場所は、OpenAIのサンドボックス・自社インフラ・パートナー9社から選ぶ。
発表ページとquickstartにあるモデル指定例は、いずれも当メディアが9月4日に報じた「GPT-6 Astra」を指定している。Codexの運用で得た制御層を、外部に開いた形だ。
一方でドキュメントは、対応するデータ所在地が米国のみで、Zero Data Retention(ZDR・データを保持しない運用)には対応していないと明記した。日本のBtoB企業には、この2点が判断材料になる。本記事の英語原文からの引用は、全て編集部訳による。
Codexのハーネスを1回の呼び出しで使う
Agents APIは、エージェントの制御層と実行環境をOpenAIが預かる製品だ。提供の段階と中身を整理する。
公開ベータで全ての開発者に即日提供
発表本文は「Agents APIは本日から、全ての開発者に公開ベータとして提供する」と書いた。招待制や順次展開ではなく、発表と同時に全開発者に開いている。
提供段階については「公開ベータの期間中は、正式提供に向けてフィードバックをもとに素早く改良を重ねる」との記述がある。現時点ではGA(正式提供)ではなく、仕様が動きうる段階だ。
Changelogにも、9月10日の項として「Agents APIを公開ベータで提供開始した」との記載がある。セッションの統括・文脈の圧縮・復旧はOpenAIが受け持つと書かれ、発表ページと同じ日付・提供段階を確認できた。
タスク・モデル・ツール・環境の4つを指定する
OpenAIは「タスク・モデル・ツール・環境を指定するだけで、本番投入できるエージェントを1回のAPI呼び出しで作れる」と書いた。エージェントの起動を一つの呼び出しにまとめた。
役割分担も明示した。「ハーネスの運用と保守はOpenAIが担う。エージェントの計算環境は、OpenAIが管理するサンドボックス、自社のインフラ、提携する事業者のいずれかから選ぶ」という構成だ。
実行環境は3種、ハーネスの機能は4点
次の表では、公開ベータで示された仕様のうち、選択肢と制約が絡む部分を一覧に整理する。数値は以降の各項で扱う。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供形態 | 公開ベータ。全ての開発者が発表当日から利用可。GAではない |
| 追加料金 | 無し。トークン・ツール・コンテナの利用分のみ |
| 実行環境 | OpenAIホストのサンドボックス・自社インフラ・パートナー9社のサンドボックス |
| ハーネスの機能 | 自動コンパクション・ツール検索・プログラム的ツール呼び出し・サブエージェントの並列実行 |
| データ所在地 | 米国のみ。ZDRには非対応で、自社サンドボックスを選んでも対象外 |
| ベータの利用条件 | OpenAI-Beta: agents=v1ヘッダーと、APIキーへの3種の権限付与 |
| ハーネスのソース | openai/codex(Apache License 2.0・Rust) |
環境はOpenAI・自社・パートナー9社から選ぶ
OpenAIがホストするサンドボックスは「CodexとChatGPTを支えているのと同じ基盤を使っている」と説明された。ファイル・パッケージ・スキル・プラグインを載せられる。
パートナーとして挙がったのは、原文の順にBlaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercelの9社だ。ドキュメント側の一覧も同じで、Oracleは「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」と表記する。
提携の狙いとしてOpenAIが挙げたのは、完全マネージドの環境または自社VPC内へのデプロイ、ファイルと秘密情報の保管方式、CPU・GPU・メモリ構成の選択の3点だ。
文脈の自動圧縮からサブエージェントの並列まで
自動コンパクション(文脈の自動圧縮)について、発表は「セッションがコンテキスト上限に近づくと、Agents APIは古い文脈を自動で圧縮し、作業の継続に必要な情報を残す」と説明する。
ツール検索は「必要になったときに関連するツール定義だけを読み込み、モデルのキャッシュを保ったままトークン消費とコストを抑える」機能だ。プログラム的ツール呼び出しでは、呼び出しを並列に走らせ、関連する操作をつなげる。
サブエージェントの並列実行では、複雑なタスクを独立した部分に分けて委ねる。各サブエージェントは自分の文脈を保つ。同時に動かせる数はmax_concurrent_subagentsで制御し、既定値は6で取りまとめ役は含めない。
OpenAIは「Agents APIは、モデルが出るたびに、その新機能へのバージョン付きのアクセスを提供する」と説明した。新モデルの機能に版付きでアクセスできる仕組みだ。
OpenAIホスト環境ではコンテナ料金が発生
Agents API自体に追加料金は無いが、OpenAIがホストするサンドボックスの利用には費用が発生する。課金はモデル・ツール・コンテナに分かれる。
モデル・ツール・コンテナの課金体系
開発者ドキュメントは「モデルの利用は選んだモデルのAPI料率で課金する。OpenAIのツールは標準料率、OpenAIがホストするサンドボックスは標準のコンテナ料率を使う」と整理する。
差が出るのはコンテナだ。料金ページには「コンテナ一つあたり20分のセッションで、1GBが0.03ドル・4GBが0.12ドル・16GBが0.48ドル・64GBが1.92ドル」と記載がある。
課金対象のコンテナセッションは分単位で計算され、1セッションあたり最低5分となる。2026年9月12日に確認した料金ページのContainers欄には、無料枠の記載が無い。
日本企業の利用判断に関わる制約
制約は独立した節にまとまっておらず、概要ページとサンドボックスのページに分散している。日本企業の判断に関わる項目を抜き出す。
データ所在地は米国のみでZDRに非対応
制約は概要ページの末尾に置かれた。「Agents APIが現在対応しているデータ所在地は米国のみで、Zero Data Retention(ZDR)には対応していない」と明記されている。
同ページは「自社でホストするサンドボックスを選んでも、Agents APIがZDRの対象になるわけではない」とも記す。実行環境を自社VPCに置いても、Agents APIの扱いは変わらない。
データの所在地や保持に社内規程がある企業では、この2点が導入判断の要素となる。対応地域の拡大予定は、2026年9月12日に確認した発表ページと概要ページに記載が無い。
サンドボックスの失効とネットワークの制御
OpenAIホストのサンドボックスには制約が二つある。一つは有効期限で、「活動と死活通知が1時間途絶えると、サンドボックスは削除されうる。このタイムアウトは設定で変えられない」と明記された。
もう一つはネットワークの制御だ。設定はenabled(既定)・disabled・restrictedの3種で、restrictedでは完全一致のホスト名を1件から100件まで指定する。ワイルドカードは使えず、サブドメインは個別に挙げる。
対応モデルとレート制限は確認範囲に記載がない
ベータ期間中の利用には条件がある。「リクエストにはOpenAI-Beta: agents=v1ヘッダーが必要である」とされ、APIキーにはapi.agents.read・api.agents.write・api.responses.writeの権限が必要だ。
2026年9月12日に確認したAgents APIのoverviewとquickstart本文には、対応モデルの一覧やAgents API固有のレート制限が記載されていない。
モデル指定を含む例はいずれもgpt-6-astraを使うが、ほかのモデルが利用できるかはこの2ページから判断できない。
ハーネスのソースはApache-2.0で公開
OpenAIは、Agents APIの特徴として制御層の中身が読める点を挙げた。中核のハーネスはオープンソースで公開されている。
OpenAIが運用し、開発者はコードを読める
発表本文は「Agents APIはオープンソースのCodexハーネスで動いており、モデル呼び出し・ツール・文脈を束ねる中核のロジックを開発者が見られる」と書いた。
リンク先のリポジトリはopenai/codexで、ライセンスはApache License 2.0、主な言語はRustだ。リポジトリはCodex CLIを、ローカルで動くコーディングエージェントと説明する。OpenAIによると、この公開ハーネスがAgents APIを支える。
Hacker Newsに寄せられた利便性と囲い込みへの意見
Hacker Newsの該当スレッドには、利便性と囲い込みへの警戒を併記した投稿がある。ある投稿者は、囲い込みはOpenAI側に利点があるとしつつ、パッチ適用・スケール・稼働率の責任を外部に預けたい需要もあると書き、ベアメタルではなくAWSやGCPを選ぶ構図に例えた。
同日公表された3件と他社の関連API
OpenAIは9月10日付で、Agents APIのほかにも複数の発表を出した。ここでは3件と、他社の関連APIを取り上げる。
GPT-Live-1はGA、Agents APIはベータ
同日発表のGPT-Live-1は、APIで全二重の音声会話を扱う。Changelogでは正式提供(GA)と明記され、フロントエンドの音声レイヤーは1分あたり0.05ドルで秒単位の課金となる。
ChatGPT for Financial Servicesは金融向けで、OpenAIはMorgan StanleyとEvercoreとの設計パートナーシップを通じて形になったと説明した。
米一般調達局(GSA)とのOneGov契約では、ライセンス料を0ドル・従量課金を50%割引とした。対象は適格な連邦・州・地方・部族の政府組織で、期間は2026年10月1日から2028年12月31日までの27カ月となる。同じ日の発表でも、GPT-Live-1はGA、Agents APIは公開ベータに置かれている。
AnthropicとGoogleもエージェント向けAPIを展開
マネージドのハーネスや状態管理を含むAPIは、他社も展開している。Anthropicは2026年4月8日にClaude Managed Agentsを公開ベータで発表し、当メディアも4月9日に報じた。
公式ドキュメントは「マネージドのインフラ上で動く、設定可能な既製のエージェント・ハーネス」と説明する。
Googleについては、当メディアが7月8日に報じた通り、Gemini Interactions APIが2026年に正式版に移行した。サーバー側の状態管理やバックグラウンド実行を標準で扱う構成だ。
各製品の役割や範囲は同一ではないが、開発者が比較する軸にはモデルだけでなく、状態管理・ハーネス・実行環境・データの扱いも含まれる。Agents APIでは、データ所在地とZDRの扱いが明示されている。
※出典:Introducing the Agents API(OpenAI) / Agents API overview(OpenAI Developers) / Agents API quickstart(OpenAI Developers) / Multi-agent(OpenAI Developers) / OpenAI-hosted sandboxes(OpenAI Developers) / Self-hosted sandboxes(OpenAI Developers) / Pricing(OpenAI Developers) / Changelog(OpenAI Developers) / openai/codex(GitHub) / Build more natural voice experiences with GPT-Live-1 in the API(OpenAI) / Introducing ChatGPT for Financial Services(OpenAI) / Expanding AI access and cyber defense for federal, state, local, and tribal governments(OpenAI) / Claude Platform release notes(Anthropic) / Claude Managed Agents overview(Anthropic) / Interactions API(Google AI for Developers) / OpenAI Agents API(Hacker News)