ナレッジ共有で使う動画活用ツールの選び方と実践ガイド|L&D担当者向け

※本記事は2026/02/22時点での情報を基にしており、閲覧時点では内容や状況が変わっている可能性があります。

社内の知識やノウハウを組織全体で共有するナレッジ共有は、人材育成や生産性向上に欠かせない取り組みです。しかし、テキストや資料だけでは情報が伝わりにくく、担当者が変わるたびに知識が失われるという課題を抱える企業も多く見られます。

近年、こうした課題の解決手段として注目されているのが、動画活用ツールを用いたナレッジ共有の仕組みです。本記事では、L&D担当者が知っておきたい動画活用ツールの選び方と活用方法を詳しく解説します。

ナレッジ共有に動画活用ツールを活用すべき理由

テキストや資料によるナレッジ共有が抱える限界を解消するために、動画活用ツールの導入は非常に理にかなったアプローチです。なぜ動画がナレッジ共有に適しているのか、主要なメリットを3つの角度から整理します。

テキストでは伝えられない「暗黙知」を映像化できる

業務の手順や判断の根拠、接客のコツなど、熟練担当者が持つ暗黙知はテキストだけでは伝えにくい知識です。動画であれば、実際の操作画面や手の動き、表情や話し方を含めてリアルに記録できるため、言語化しにくい実践的なノウハウを可視化できます。

特に、オペレーション業務や接客・営業の現場では、「見て学ぶ」効果が大きく、動画による手順説明は理解度と定着率を高めます。標準化されたナレッジを動画で記録・共有することで、新しい担当者が独立して業務を覚えるまでの期間を短縮できるでしょう。

場所・時間を選ばない非同期学習が可能

対面やリアルタイムのOJTは時間・場所の制約があり、指導者の負担も大きくなります。動画によるナレッジの共有であれば、受け手は自分のペースで、必要なタイミングに何度でも繰り返し視聴できます。

近年はリモートワークや複数拠点での業務が一般化しており、非同期で学べる動画ナレッジは、従業員のセルフラーニングを支援する上で非常に有効です。また、動画は一度制作すれば繰り返し活用できるため、指導者が同じ説明を何度も繰り返すコストを削減できます。

検索・参照がしやすく、知識の属人化を防げる

動画活用ツールの多くは、タイトルやタグ、文字起こしテキストによる検索機能を備えています。「あの手順をもう一度確認したい」といったときに、必要な動画をすぐに見つけられる環境は、ナレッジの実用性を大きく高めるでしょう。

動画形式で体系的に知識を蓄積することで、特定の担当者だけが持つ「属人化した知識」をチーム全体の資産として組織化できます。担当者の異動・退職があっても、ナレッジが継続的に活用される仕組みづくりが可能です。

ナレッジ共有に活用できる動画活用ツールの種類

ナレッジの共有を目的とした動画活用ツールには、目的や機能によっていくつかの種類があります。自社の用途に合ったツールを選ぶことが、継続的に運用し続けるためのポイントです。

スクリーンレコーディング・解説動画ツール

PCの操作画面を録画しながら音声で解説を加えるスクリーンレコーディングツールは、ITツールや社内システムの操作説明に最適です。LoomやZightなどが、代表的なツールとして知られています。

Loomは録画後にすぐリンクを共有でき、コメントやリアクション機能で双方向のコミュニケーションが可能です。チャットやSlackとの連携も強く、非同期コミュニケーションを重視する組織に向いています。

なお、厳密には動画ツールではありませんが、Scribeのように操作手順を自動的にスクリーンショット付きの静止画ガイドとして生成できるツールも、動画と併用することでITツールの導入マニュアル作成などに重宝するでしょう。

LMS(学習管理システム)一体型ツール

LMS(Learning Management System)と動画機能を組み合わせたツールは、研修プログラムの体系化や進捗管理が必要な組織に適しています。TalentLMS・Docebo・moodle・Cornerstone OnDemandなどが代表的なツールとして知られています。

これらのツールでは、動画コンテンツに確認テストやアンケートを組み込み、知識の定着度の定量的な測定が可能です。コース管理・修了証の発行・レポート機能なども備えており、コンプライアンス研修や資格取得支援などの用途にも対応しています。

インタラクティブ動画ツール

動画の視聴途中にクイズや選択肢を挿入し、視聴者が能動的に参加できる形式のインタラクティブ動画ツールも注目されています。H5P・PlayPosit・Kaltura Captureなどが活用されています。

学習者が一方的に情報を受け取るのではなく、自ら考えながら視聴することで、知識の定着率を高められるでしょう。特に、正解・不正解に応じて次の説明に分岐するアダプティブラーニング型のコンテンツは、レベルの異なる学習者に対して、個別に最適化された学習体験を提供できます。

動画編集・テンプレートツール

既存の素材を活用して動画コンテンツを効率よく制作するためには、テンプレートを備えた動画編集ツールが役立ちます。Canva・Lumen5・Descript・Adobe Expressなどが、特に使いやすいツールとして有名です。

社内担当者がツールの専門知識なしでも動画を制作できる環境が整うことで、ナレッジ動画の制作コストを抑えながらコンテンツ量を増やせます。テンプレートでデザインを統一しておくことで、複数の担当者が制作しても一定のクオリティを保てるメリットもあります。

ナレッジ共有動画活用ツールの選び方

自社の課題とニーズに合ったツールを選ぶためには、以下のポイントを意識することが大切です。導入の目的や社内の運用体制を整理した上で、複数のツールを比較・検討しましょう。

使いやすさと定着率を優先する

どれだけ高機能なツールであっても、担当者が使いこなせなければ定着しません。直感的なUIで録画・共有がシンプルに行えるツールの方が、組織全体への浸透スピードが速い傾向にあります。無料トライアルを活用して、実際の業務での使いやすさを事前に確認しましょう。

「L&D担当者だけでなく、現場社員も気軽に使えるか」という視点を、ツール評価の判断基準に加えるとよいでしょう。録画・共有までのステップ数が少ないツールほど、ITに不慣れな社員でも取り組みやすく、社内全体でのナレッジ共有の文化定着につながります。

既存ツールとの連携性を確認する

Slack・Microsoft Teams・Notionなど、すでに社内で使われているツールとの連携機能があるかどうかも、重要な選定基準です。ナレッジ動画を既存のコミュニケーション・ドキュメント管理ツールに組み込むことで、担当者が新しいツールを別途覚える手間を減らせるでしょう。日常業務の中で、自然にナレッジを参照できる環境を整えられます。

例えば、Slackメッセージ内で直接動画を再生できるツールや、Notionページに動画をエンベッドして手順書と一体化できるツールは、ナレッジを参照する機会を自然な形で増やせます。連携の実際の挙動は、トライアル期間に実際に操作して確かめた上で、導入判断を行うことをおすすめします。

セキュリティとアクセス管理の要件を満たすか

社内の機密情報を含む動画コンテンツは、適切なアクセス管理が必要です。部署別・役職別の閲覧権限設定、シングルサインオン(SSO)対応、データの保管場所など、セキュリティ要件を確認した上でツールを選定しましょう。特にグローバルに展開する企業では、GDPRなどのデータ保護規制への対応も考慮が必要です。

ツールのセキュリティ仕様は、公式サイトの規約・セキュリティホワイトペーパー・日本国内データセンターの有無などで確認できます。情報システム部門の要件と照合した上で導入判断を行うことで、セキュリティリスクを最小限に抑えられます。

コストと拡張性のバランス

初期コストだけでなく、ユーザー数の増加やコンテンツ量の拡大にともなうプランの変更・コストの増加も検討材料に入れましょう。スタートアップや小規模チームはまず無料プランで試し、利用状況に応じてスモールスタートで段階的に拡張できるツールが使いやすいといえます。

比較・検討の際には、将来的に必要になりそうな機能(ユーザー数の増加、外部への動画共有など)も考慮しましょう。ライトプランから始める場合でも、将来の拡張時に追加コストが生じないか確認しておくことで、長期的なコストコントロールが可能になります。

ナレッジ動画の制作・運用を成功させるポイント

単にツールを導入するだけではなく、社内でのナレッジ動画の文化を定着させるための運用設計が、長期的な成果を生み出すコツです。導入前に運用ルールと「誰が何をどこに作るか」を明確に定義しましょう。ナレッジ動画の制作・運用のポイントを解説します。

動画の粒度を統一してシリーズ化する

1本の動画で扱うテーマは1つに絞り、5〜15分以内にまとめるのが基本です。複数のテーマをまとめた長尺動画は目的のシーンを探すのが難しく、参照性が低下します。テーマ別・業務別に細かく分けてシリーズ化しておけば、新しい担当者が必要な知識だけを選んで視聴しやすくなるでしょう。

さらに、タイトルの付け方なども統一することが重要です。「〇〇編 #1」「△△手順 – Step 2」のように、シリーズ名・番号・内容がわかる命名規則を決めておくと、目的の動画を素早く見つけられます。各動画の冒頭30秒程度で「この動画でわかること」を簡潔に伝える構成にすると、視聴者が目的に合った動画かどうかをすぐに判断でき、離脱率の低下にもつながります。

制作の主体を広げてコンテンツを量産する

L&D担当者だけがコンテンツを制作するのではなく、現場の専門家や熟練担当者も動画制作に参加できる体制を整えることで、ナレッジの蓄積スピードが格段に上がります。Loomのような簡単に録画・共有できるツールを全社に導入することで、誰でも気軽にナレッジを動画化できる文化を育てられます。

動画制作の手順や品質基準をガイドライン化し、簡単なテンプレートも用意しておくとよいでしょう。担当者が迷わず制作に取り掛かれるようになります。

定期的な更新とアーカイブ管理

業務手順や使用ツールが変わった際には、古い動画を速やかに更新または非公開にすることが重要です。古い情報が混在していると、視聴者の混乱を招き、動画ナレッジへの信頼が損なわれます。

コンテンツの定期レビューのサイクルを設け、更新・廃止・新規追加の判断を明確なルールに基づいて行う仕組みを整備しましょう。タグ付けやカテゴリ分類を徹底することで、大量のコンテンツが蓄積した後でも検索性を維持できます。

視聴データを活用して改善する

ツールの分析機能を活用し、視聴回数・完了率・つまずきポイントなどを定期的に確認します。視聴が少ない動画は内容を見直すか、タイトルや説明文を改善することで活用を促進できます。

アンケートやコメント機能を通じて視聴者のフィードバックを収集し、「分かりにくかった点」「追加してほしいコンテンツ」などを次の制作に反映しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. ナレッジ共有に動画活用ツールを使うメリットは何ですか?

A. テキストでは伝えにくい「暗黙知」を映像化でき、場所・時間を問わない非同期学習が可能になる点がメリットです。

一度制作した動画は繰り返し活用でき、OJTにかかる指導者の時間とコストを削減できます。また、動画でナレッジを蓄積することで、担当者の異動・退職による知識の喪失を防げます。

Q. 動画活用ツールを選ぶ際にまず確認すべきことは何ですか?

A. 「誰が制作するか(専任担当者か現場社員か)」「既存ツールとの連携が必要か」「LMS等による進捗管理が必要か」の3点を最初に整理するとよいでしょう。これらの要件が明確になることで、自社に最適なツールの種類と機能要件が絞り込みやすくなります。

Q. 動画制作の専門知識がなくても運用できますか?

A. LoomやZightのようなスクリーンレコーディングツール、CanvaやAdobe Expressのようなテンプレート型編集ツールを活用すれば、専門知識がなくても品質の高いナレッジ動画を制作できます。最初のうちはシンプルなフォーマットから始め、慣れに応じてクオリティを高めていくアプローチがおすすめです。

Q. ナレッジ動画の運用でよくある失敗例は何ですか?

A. 「制作はしたが誰も見ない」といった状況に陥るケースが最も多い失敗例です。これを防ぐには、オンボーディングや研修プログラムへの組み込みに加えて、業務上でのリファレンスとしての公式化が効果的です。

また、コンテンツが増えすぎて整理されていなかったり、古い情報が放置されていたりすることも、視聴者の離反を招く原因になるので注意しましょう。

Q. 動画ナレッジの効果をどのように測定すればよいですか?

A. 視聴完了率・テスト正解率・業務習得期間の変化・問い合わせ件数の削減率などを指標として測定します。LMSを活用していれば、学習者ごとの進捗やスコアを自動集計できます。

四半期ごとに効果測定の結果を組織内で共有し、改善へのフィードバックループを確立することが継続的な成果の向上につながります。

動画活用ツールで組織のナレッジを「生きた資産」として活かす

ナレッジ共有に動画活用ツールを活用することは、組織の知識を可視化・資産化し、学習機会の公平な提供と業務効率の向上を実現する有効なアプローチです。スクリーンレコーディングツール・LMS・インタラクティブ動画・テンプレート型編集ツールなど、目的に応じたツールを選ぶことで、L&D担当者の課題を解決するナレッジ共有の仕組みを構築できます。

ツール導入後は、コンテンツの粒度の統一・制作主体の広げ方・定期的な更新管理・データを活用した改善が、運用を継続させるポイントです。本記事で紹介した観点を参考に、自社に合ったナレッジ共有の動画活用を始めてみましょう。

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